インフレ高水準で長期化となるか

 10日には米国の2月CPI(消費者物価指数)も発表されます。1月CPIは前年比+7.5%と約40年ぶりの上昇率となりましたが、2月はさらに上昇すると予測されています。高水準のインフレが続きそうな事態となってきました。

 今年のインフレの予想としては、新型コロナの感染拡大が収まれば経済は平常通りとなり、供給制約も解消され、インフレも年後半には鈍化していくとみられていました。しかし、ウクライナ情勢によって新たな要因が加わったため、インフレは高水準で長期化する可能性が高まってきました。

 ロシアとウクライナが停戦合意になっても、西側諸国はロシア抜きのサプライチェーンの見直しを進めることが予想されます。エネルギー調達の多様化やレアアースの調達多様化は、脱炭素と並ぶ構造的なインフレ要因となるかもしれません。

 10日の米国CPIの発表を受けた来週のFOMCでは、今後の利上げペースをどのように進めていくのかも注目です。一方で、ウクライナ情勢による欧州景気の悪化やインフレの加速によって米国景気が悪化することも予想され、FRBは利上げシナリオをどこまで維持できるのかも注目したいと思います。

 ドル/円は、利上げ期待のドル高とユーロ/円などクロス円の円高によって身動きが取れない状態となっています。このような環境では過去の動きやテクニカルポイントはあまり参考にならないかもしれません。ドル/円が動くとすれば、FRBのハト派姿勢への転換がきっかけとなることが予想されますが、まだ先の話かもしれません。