今週ECBの動きには注意が必要
今週10日にはECB(欧州中央銀行)理事会が、来週15~16日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。ECBもFRB(米連邦準備制度理事会)も判断に相当悩む理事会になりそうです。原油・資源高によるインフレ加速への対応策をとるか、ウクライナ情勢やインフレによる景気悪化への対応策をとるかの判断を示さなければなりません。
早期利上げに慎重姿勢だったECBは、2月の理事会でタカ派に豹変(ひょうへん)し、今年中の利上げの可能性を否定しませんでした。しかし、ウクライナ侵攻による景気悪化懸念からECB内からはハト派の意見も出始めています。
一方、3月2日の議会証言でパウエル議長はマーケットでくすぶっている「3月利上げ見送り」を否定し、0.25%の利上げを提案しました。もし、今週のECBが利上げに慎重になり、FRBは来週のFOMCで予定通り利上げとなると、材料出尽くしというより、欧米の金融政策の方向の違いからユーロが一層下落することも予想され、警戒する必要がありそうです。
ただし、ECBの行動には注意したいと思います。ウクライナ情勢によって、利上げは先延ばしとみる向きが多いですが、インフレに果敢に立ち向かう伝統(?)の刃を振り下ろすシナリオも何%かあるかもしれません。
1987年のブラックマンデー直前の利上げ(当時はドイツ連銀)や、2008年のリーマンショック直前の利上げ、2011年の欧州債務危機直前の利上げなど、インフレ抑制を重視した決定をすることがあるからです。
もし、利上げをすれば、ユーロは一時的に反転するかもしれませんが、利上げによる景気への影響がより材料視され、利上げ見送り以上にユーロ安をもたらすかもしれません。