ロシアがウクライナに侵攻

 ロシアがウクライナに侵攻しました。ロシアは多方面から一斉に火ぶたを切る電撃作戦を展開しています。究極的にはウクライナ最大の都市、キーウ(キエフ)を支配下に入れ、親露政権を樹立することを狙っているように見えます。

 西側諸国はこれに対して厳しい経済制裁を科す検討に入っています。最終的には、ロシアをSWIFT(銀行間の国際決済ネットワーク)から締め出すことが検討されていると伝えられています。加えてロシア産原油・天然ガスの不買運動に発展することも考えられます。

 しかしいまは各国の足並みがそろっていません。したがってそれらの発表には至っていません。投資家としては、いずれそうなる心の準備をしておくべきです。

米国経済への影響

 米国ではクルマは通勤に欠かせません。ガソリン代の上昇は市民生活を直撃し増税に似た消費抑圧効果をもたらします。それは今後消費が落ち込むリスクがあるということです。

 経営者目線では先行き不透明感がある局面では設備投資や雇用の拡大はしにくいです。今後、それらの活動が鈍化しても全く驚くに値しません。

 つまり今回の戦争は米国経済にブレーキをかける可能性が高いのです。

連邦準備制度理事会の次の一手

 FRB(米国の中央銀行である連邦準備制度理事会)が気を付けないといけないことは、戦争で経営者や消費者のマインドが冷え込むリスクがあるこの場面で利上げを無理強いしないということに尽きます。

 かねてから発表されている「3月から0.25%の利上げ」はそのまま実行されるでしょうが、その後の行動に関しては「戦争の実体経済への影響を見極めたい」という風にソフトなメッセージを出す方が賢明です。

 戦争のせいでロシア原油・天然ガスのボイコットが発動され、結果として足元のインフレが一層激しくなったとしても、これはFRBのせいではありません。そのような瞬発的なインフレは放置しても結構! という風に投資家は判断するでしょう。なぜなら高騰したガソリン代は消費者が遠出を控えることで中期的には反落に転じると思われるからです。

 つまりじっくり待っていれば経済の減速とともにインフレは沈静化することが今回の戦争で明らかになったということです。

投資戦略

 今回の進展でFRBが採るべき道は明快になりました。それは「有事なのだから慌てた操作は慎み、利上げは必要最小限に止め、過熱した経済が鈍化する様子をじっくりと観察する」ということです。

 金利面でのプレッシャーが和らぐことは米国株、とりわけグロース株にとって歓迎すべきことです。年初から一時▲20%まで調整し「ベアマーケット入り」が確定したナスダックにはある種の調整の達成感が感じられます。このショックを機に反騰局面に転じたとしてもまったく不思議はありません。

 バリュー株対グロース株という切り口では、今後はグロース株がバリュー株よりアウトパフォームする可能性が出てきました。

 そこで投資家としては石油株、素材株、工業株を減らし、ネット株に代表されるグロース株へのシフトを行うのが賢明だと思います。