1月の製造業PMI、旧正月要因と内需の低迷で下向く
国家統計局が発表した中国の1月の製造業PMI(購買担当者景気指数:企業の購買担当者を調査対象とする景気先行指標)は50.1と、マーケットの予想通り、前月12月の50.3から小幅に低下した。また、現地メディアの財新が独自に調査している中国の製造業PMIは1月に49.1と、前月の50.9からさらに大きく下落。好不況の判断の分かれ目となる50を下回る水準に沈んだ。
1月の製造業PMIの低下は旧正月という季節要因と国内需要の軟化によるもの。例年、旧正月前には生産活動が停滞する傾向がある。国家統計局が発表した“公的”製造業PMIを見ると、分類指数のうち生産指数が1月には50.9と前月の51.4から下向いた。
中国経済は依然として下押し圧力にさらされており、景気テコ入れ策が効力を発揮するまでにはまだ時間がかかる見込み。分類指数のうち、内需の指標となる新規受注指数は1月に49.3と、前月の49.7から低下し、これで6カ月連続して50を下回る水準で推移した。一部地域での新型コロナウイルスの感染は特に、サービス業の回復の足かせとなっており、多くの中小企業が苦境にあるもよう。「小型企業」の製造業PMIは46.0と、前月の46.5からさらに悪化。サービス業の新規受注指数も1月には46.8にとどまり、48.2から一段と下げる形となった。
一方、輸出は短期的に、底堅く推移する可能性が高い。PMIの分類指数のうち、輸出の先行指標となる新規輸出受注指数は前月の48.1から、1月には48.4に反転上昇した。中国の輸出は2022年に減速するとみられるが、その理由は前年実績の高さや世界経済の減速、世界的なサプライチェーンの回復見通しなど(海外のサプライチェーンの機能不全はこれまで、中国の輸出に有利となっていた)。ただ、変異株オミクロン株のまん延は供給サイドに影響しており、短期的には中国の輸出の減速ペースは、より緩やかなものとなる可能性が高い。
価格指標となるPMIの分類指数は、原油高を受けて1月に急上昇。原材料購買価格指数が56.4(前月は48.1)、出荷価格指数が50.9(同45.5)に達し、そろって節目の50を上回った。国家統計局によると、中でも原油・石炭加工業と非鉄金属圧延業では、この2つの価格指数がいずれも60超を記録したという。こうした数字を見る限り、1月の生産者物価指数(PPI)上昇率は高止まりする見込み。BOCIは前年同月比9%前後との予測を示している(前月12月の上昇率は同10.3%)。
1月の製造業PMIは中国の内需が一段の下降圧力に直面していることを示したが、政府は国内経済の安定成長維持に向けた強いメッセージを発しており、この点から企業心理は改善しているもよう。製造業PMIの分類指数のうち生産経営活動預期指数は1月に57.5と前月の54.3から改善傾向を示している。