1月雇用統計の予想

 BLSが2月4日に発表する1月の雇用統計は、市場予想によると、NFPは+17.0万人。失業率はさらに3.9%で横這い。平均労働賃金は、前月比+0.5%、前年比+5.2%の予想となっています。

 昨年1月から12月までの雇用者増加者数は月平均49.4万人なので、NFPの伸びは明らかに鈍化しています。その一方で平均労働賃金の強さが目立ちます。賃金を引き上げることで「残り少ない」労働者を確保しようとする会社が増えているからです。

 FRBの金融政策は、雇用安定よりも物価安定を重視する方向に完全に切り替わっているため、失業率やNFPが多少悪化したところで、利上げを延期するとは考え難い。

 パウエルFRB議長は、雇用促進とインフレ対策のトレードオフ(失業率を低めようとすれば物価の上昇圧力が強まり、物価を安定させようとすれば失業率が高まる)において、インフレが可処分所得を圧迫し、政策が支援すべき人々にダメージを与えているかどうかが、FRBの判断基準だと述べました。

 その結果、米国経済はもう十分に回復したので、これ以上流動性を増やすのは適当ではないとの結論に至ったのです。

 いろいろ理由はあるのでしょうが、要は、 失業率1ポイント下げるよりもインフレ率を1ポイント下げたほうが政治的な受けが良いとバイデン大統領もパウエル議長も知っているのでしょう。