2022年の重要経済日程

 為替相場の経済要因として最も大きな要因は金融政策です。特にFRBの金融政策です。

 また、日本銀行、FRB、ECB(欧州中央銀行)総裁は金融政策委員会終了後、毎回記者会見を行い、市場との対話に努めています。この記者会見も重要です。

 声明文を補うような一歩踏み込んだ説明をしたり、先行きの方向性を示唆する内容を発言したりします。記者会見の発言で相場が動くことも多いため、注視する必要があります。

 また、FRB議長の議会証言が年2回(2月、7月)ありますが、これも注目材料です。そして8月下旬には米国カンザスシティ連銀主催の金融シンポジウムがジャクソンホールで開催されます。過去には、各国の中銀総裁が今後の金融政策の変更を示唆する発言をしたこともあり、毎年注目されています。

 昨年のドル/円は終値ベースで6年ぶりの円安で終えました。円安の背景は、

(1)新型コロナウイルスの感染者が増えたが、ワクチン接種率が高まるとともに経済規制が緩和され、経済回復が進んだこと。

(2)一方で、原材料や部品の供給不足やサプライチェーンの混乱、人手不足によって資源や賃金が上昇し、回復した需要に供給が追いつかず物価上昇が続いたこと。

(3)物価上昇は「一時的」とみていたFRBが、11月から長期化懸念との姿勢に転じ、11月にテーパリング開始、12月にはテーパリングの加速を決定。金融緩和正常化のプロセスを早めたことによって、2022年の利上げ時期の前倒しや利上げ回数が増えるとの期待や思惑が高まったこと。

 などが挙げられます。これらの要因が米金利を押し上げ、ドル高・円安をもたらしました。今年もこのような要因が続くのであれば、円安が続くと予想されますが、はたして同じような軌道に沿って、進むのかどうかが今年のポイントになります。

 すなわち、インフレ上昇が続き、抑制するためにFRBが3月か6月にも利上げを開始し、年内2~3回の利上げをするのかどうかが注目です。

 一方で、感染力の強いオミクロン株によってコロナ感染者が急増し、重症化率が低くても経済規制がなくても行動が慎重になり、経済が停滞することも予想されます。もし、経済が停滞し、景気が悪化すれば、FRBはインフレ抑制のための金融引き締めについてかなり悩むことが予想されます。

 以上のように、今年もやはりFRBの金融政策の動向が最大注目材料となります。そして、FRBの金融政策に影響を与える経済成長率、物価上昇率、雇用統計に注目です。

 下表に日米欧の金融政策委員会の開催日、経済成長率や物価の公表日をまとめました。今週のコラムは保存版として活用してください。米雇用統計は、毎月第一金曜日に公表されます。

日米欧中央銀行の金融政策会議開催日

2022年 日銀金融政策
決定会合
米連邦公開市場
委員会(FOMC)
欧州中央銀行
理事会(ECB)
金融イベント
1月 17~18日※ 25~26日  
2月 3日 FRB議長半期議会証言(2/5)
3月 17~18日 15~16日※ 10日※  
4月 27~28日※ 14日  
5月 3~4日  
6月 16~17日 14~15日※ 9日※  
7月 20~21日※ 26~27日 21日 FRB議長半期議会証言
8月 ジャクソンホールFRB議長講演
9月 21~22日 20~21日※ 8日※  
10月 27~28日※ 27日  
11月 1~2日  
12月 19~20日 13~14日※ 15日※  

(注)1. ※は日銀「展望レポート」公表(1、4、7、10月)、FOMC、ECBは経済見通し公表(3、6、9、12月)
2. FOMCは火~水曜日開催  ECB理事会は木曜日開催
3. 会議終了後の総裁の記者会見は日米欧とも毎回実施
4.  黒太字は日米欧の理事会が集中している日程。相場が変動しやすいため注意が必要

日米欧GDP速報値の発表日

  日本 米国 ユーロ圏
2021年
10~12月期
2月15日 1月27日 1月31日
2022年
1~3月期
5月中旬 4月28日 4月29日
2022年
4~6月期 
8月中旬 7月28日 7月29日
2022年
7~9月期
11月中旬 10月27日 10月31日

日米欧消費者物価指数(CPI)の発表日

2022年  日本 米国 ユーロ圏
1月 21日(12月分) 12日(12月分) 7日(12月分)
2月 18日(1月分) 10日(1月分) 2日(1月分)
3月 18日(2月分) 10日(2月分) 2日(2月分)
4月 3月分以降の
公表日は後日
発表予定
12日(3月分) 1日(3月分)
29日(4月分)
5月 11日(4月分) 31日( 5月分)
6月 10日(5月分)
7月 13日(6月分) 1日(6月分)
29日(7月分)
8月 10日(7月分) 31日(8月分)
9月 13日(8月分)  30日(9月分)
10月 13日(9月分) 31日(10月分)
11月 10日(10月分) 30日(11月分)
12月 13日(11月分)