今年注目すべき7つのポイント

 まず、今年の注目ポイントを見てみます。

【1】インフレ動向とFRBの利上げ時期

 今年最大の注目点は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ時期と利上げ回数です。インフレ上昇を抑制するため、6月以降2~3回の利上げがあるというのが、マーケットの見方の大勢となっていますが、テーパリングが3月には終了する予定であるため、3月にも利上げとの見方もあります。

 しかし、春先以降、インフレの上昇要因であった供給不足が徐々に解消され、原油も4月以降、前年比効果で上昇率が鈍化し、インフレの頭打ち傾向がみられてくると、3月や6月利上げのシナリオが後退するシナリオも、頭に入れておく必要があります。

 そして11月には米国の中間選挙が控えているため、後倒しになればなるほど、利上げは政治的に困難な環境になります。そこに米国の景気停滞も重なれば、場合によっては今年中に利上げができないシナリオも想定しておく必要があるかもしれません。そうなれば、来年の円安はかなり抑制され、年後半は円高に反転することも予想されます。

【2】オミクロン株の影響

 コロナウイルス変異株「オミクロン株」は、重症化率が低いといわれているため、株式市場や消費行動には安心感が広がっています。しかし、感染力が強いため、感染者がさらに急増すると、経済規制がなくとも行動が慎重になり、経済が停滞することも予想されます。

 景気が悪化する中では、インフレ抑制のための金融引き締めを避けたいFRBにとっては、かなり難しい政策運営に直面することが予想されます。

 オミクロン株が最初に発見された南アフリカの感染ペースは鈍化してきているため、欧米もこのような鈍化傾向が今後みられるかどうかに注目です。

【3】米国中間選挙

 民主党内の不安定な構図に加え、トランプ元米大統領の勢いが盛り返し、夏場以降、米国の政局不安定要因が相場の攪乱(さくらん)材料になることが予想されます。

 もし、中間選挙で上下院とも民主党が負ければ、バイデン現米政権はレームダックとなり、米国の政治力と経済は失速する可能性もあるため要注意です。

【4】欧州動向

 欧州のコロナの感染拡大は、米国よりも強いため、行動規制が伴い、経済への悪影響が強く、ユーロの上値を重くする要因になると予想します。ウクライナ問題や、ドイツの新政権、4月のフランス大統領選挙と、地政学リスクや政治要因も加わり、リーダー不在の欧州は不透明な局面が続くと予想されます。

【5】中国動向

 中国では、所得格差拡大による国民の不満が高まっており、昨2021年、習近平主席は「共同富裕」社会実現を掲げ、一気にかじを切り替え、IT企業規制や不動産企業への融資規制などの規制強化によって経済が停滞しました。

 さらに2月の北京オリンピックを控え、コロナ対策の行動規制が強化されているため、経済停滞が長期化する懸念があります。秋には5年に一度の中国共産党全国代表大会が控えていることから政治的な動きにも要注目です。

【6】原油動向

 2021年は、押さえ込まれた経済の急激な需要回復によって原油は急上昇しましたが、2022年はその需要の勢いは一巡し、2021年ほどの上昇圧力は乏しいと予想されます。

 世界経済の回復の勢いが鈍化すれば原油は下落し、4月以降は前年比効果も加わり、インフレの上昇圧力が弱まる可能性があります。欧米の金融政策に大きな影響を与えるため、原油価格動向は注目です。ただし、中東の地政学リスクは燻(くすぶ)り続けているため、原油の下値も限定的となりそうです。

【7】地政学リスクの高まり

 台湾海峡、ウクライナ問題、中東と2021年よりも地政学リスクが高まることが予想されます。世界経済回復の勢いが鈍化すれば、よりリスクが高まることが予想され、ドル高、円高要因になる可能性があります。