ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄

 12月の日経平均株価は前月末比で3.5%の上昇となりました。

 11月後半にかけて、新型コロナウイルス変異株「オミクロン」への警戒感で大きく下落しましたが、重症化率は高くないとの見方も広がり、世界的な経済活動抑制に対する警戒感が後退したことで、徐々に戻りを試す動きとなりました。

 英イングランド銀行が予想外の利上げを決定するなど、中旬にかけて世界的な金融緩和策の後退が意識される場面もありましたが、年末にかけての掉尾の一振などを期待する動きもあって、すぐに持ち直しました。

 こうしたなか、ランキング上位銘柄は総じて買い優勢の展開になり、下落したのはソフトバンク(9434)の1銘柄のみでした。ソフトバンクの下落に関しては、特に目立った材料は観測されませんが、ソフトバンクG(9984)の株価下落が警戒視されたほか、ディフェンシブ銘柄に関心が向かない地合いであったことも影響したようです。

 一方、ランキング上位の海運株や鉄鋼株の上昇率が目立ちました。海運株に関しては、モルガン・スタンレーMUFG証券の業界レポートが話題となりました。大手3社に関して、2023年3月期の連続経常増益、増配見通しを予想するものとなっています。

 日本郵船(9101)商船三井(9104)に関して、2023年3月期の減配予想が大半を占めている中、ビッグサプライズとなる形になりました。また、これが大手鉄鋼株への連想感にもつながったようです。

 ランキング内の変動で大きな変化はありませんでしたが、住友商事(8053)住友金属鉱山(5713)が新たにランクインした一方、ミクシィ(2121)りそなHD(8308)がランク外となりました。

 りそなHDは株価の相対的な上昇でランク外に、逆に、住友金属鉱山は相対的に上昇率が低かったことでランク内に突入となっています。

 また、ミクシィに関しては、いちよし証券がレーティングを「A」から「B」に引き下げたことで、アナリストレーティングが基準外になりました。スポーツ事業の鈍化を引き下げの背景としているようです。

 一方、住友商事は配当利回りのコンセンサスが切り上がったことがランクインの要因です。会社側で11月に年間配当予想を70円から90円に引き上げており、これが遅れて反映されたものとみられます。なお、年間配当90円を前提にすると、配当利回りは5.29%の水準となります。

ランキング銘柄と相場の注目点

 ほかに、会社計画と配当利回りコンセンサスの乖離が大きいのは、日本郵船(9101)住友金属鉱山(5713)になります。

 日本郵船は連結配当性向25%程度を目安としていることで、実質的にコンセンサス水準が妥当となります。ただ、会社側から増配が発表されるとしても、2022年3月期の決算発表日のタイミングとなるもようです。

 その場合は、同時に発表される2023年3月期の配当水準がより注目されることになるでしょう。ちなみに、会社側計画をベースとした配当利回りは9.13%となります。

 住友金属鉱山は、会社計画ベースでは4.23%の配当利回りとなります。ただ、上半期実績113円に対して、期末配当金は71円を前提としており、実質コンセンサス水準が妥当といえるでしょう。

 ほか、JFEHD(5411)日本製鉄(5401)は年間配当計画を未定としています。仮に、上半期と下半期の配当が同水準と仮定すれば、JFEHDの配当利回りは8.18%、日本製鉄は7.45%(アナリストコンセンサスと同一)と試算されます。

 2022年の株式市場がスタートしましたが、今年の最大の焦点は米国の利上げペースとなるでしょう。年内3度の利上げを織り込めば、やはりグロース株よりもバリュー株が優位の情勢と考えられ、高配当利回り銘柄への関心は強める必要があるとみられます。

 とりわけ、1月には第3四半期決算発表もスタートし、期末配当金の増配アナウンスも出てくるとみられます。高配当利回り銘柄の増配はインパクトを強めやすいでしょう。

 ほか、今年の注目点は、岸田政権による金融所得課税、自社株買いガイドライン、四半期決算の見直しなどに対する考え方、参院選や米中間選挙に向けた警戒感の高まりの有無などとなってきそうです。