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 今年は『気候変動対策』のための国際枠組み構築が大きく進展した一年でした。4月の気候変動サミットでは、各国政府から温室効果ガスの削減目標が数値と期限を定めて相次いで示されました。8月には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書が公表され、11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、気温上昇を産業革命以前と比べて1.5度に抑制するとの目標が確認されました。

【ポイント1】『気候変動対策』の国際枠組み構築が大きく進展

 今年は『気候変動対策』のための国際枠組み構築が大きく進展した一年でした。4月には気候変動サミットが開催され、日本は温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減すると表明し、これまでの26%から目標を大幅に積み増しました。また、米国は2030年までに2005年比で50~52%減、英国は2035年までに1990年比で78%減、カナダは2030年までに2005年比で40~45%減、EUは2030年までに1990年比で55%減、中国は2030年にかけて石炭消費量を徐々に減らしていくと表明しています。

 日本、米国、EUは2050年まで、中国は2060年までに温室効果ガスの実質排出量をゼロにするカーボンニュートラルを目指していますが、気候変動サミットで表明された各国の温室効果ガス削減目標はそれに向けた中間目標となります。

【ポイント2】各国の具体的な取り組みについても合意

 8月にはIPCCの報告書で、複数のシナリオのいずれにおいても、温室効果ガスの排出を大幅に減少させない限り、世界の平均気温は2021~2040年に産業革命以前と比べて少なくとも1.5度上昇するとの予測が示されました。

 11月のCOP26では、気温上昇を産業革命以前と比べて1.5度に抑制するとの目標を確認するとともに、温室効果ガスの削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的な削減や、非効率な化石燃料に対する支援の停止に向けた努力、2025年までの先進国による途上国への支援の倍増、温室効果ガスの排出削減量の取引市場に関するルールなどの具体的な取り組みで合意がなされました。

【今後の展開】今後問われる政策の実現性

 今後、各国は気候変動サミットで示された長期的な目標のために、IPCCの警告を踏まえ、COP26で合意した具体的な取り組みを実際の政策に落とし込む必要があります。大きく進展した国際枠組みが機能するのか、それとも合意が各国の政策が打たれる段階で実効性を失ってしまうのか、来年にかけても『気候変動対策』に注目です。