リスクは自分が納得できる範囲で。無意識にリスクを取っていることも

シータ:若い人は時間があるので、リスクを取れるということを言われますが、リスクを取る覚悟があるのならいいと思います。どうしても失敗したくない人はリスクの小さいものから入る方がいいですね。

 投資は就職先を決める作業に似ていて、安定した大企業に就職したいという人と、急成長しそうなベンチャーがいいという人もいる。どちらの価値観でもいいのですが、どちらを選んでも覚悟が必要だということだけは押さえてほしいです。

もふ:年齢に関係なく、納得してやるのならいいのではないかな、と思います。投機に近いことをして大きなリターンを得て成功した人もいるし、コツコツとドルコスト平均法を使って積立をして資産を大きくした人もいます。

 いろいろなタイプの成功者がいるので、どの成功者が一番自分に合っているのか、自分にとって再現性があるのかを考えて、まねをするのがいいと思います。

小林:ちょっと気をつけた方がいいと思うのは、自分が思っている以上に、無意識のうちにリスクを取っている人が多いことです。

 最近で言うと「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を買っておけばいいと考えている人は多いと思いますが、それって債券重視の商品に比べると値動きが大きいじゃないですか。

 今は株式相場が好調だからいいのですが、何かのショックが起こって想定以上に値下がりした時に大丈夫かな、耐えられるのかなと心配になることがあります。

 僕は、最初のうちは商品を比較しながら運用するのがいいと思っています。米国株式か全世界株式どちらかと、8資産分散型のバランスファンドや債券重点型のファンドを一緒に持って、同じ金額を積み立てて運用するんです。

 すると値動きに差が出てくるので、リスクが実感できると思います。そうやって経験を積むことが大切です。

――今は米国株式を魅力的と紹介する情報も多く、全米株式のファンドや米国株式に全ての投資資金を使う人も多い印象です。こういった一点突破の投資についてはどう思われますか。

もふ:アベノミクス以降に投資を始めた投資家は、本当の恐怖を体験していない人が多いと思います。

 僕は、値上がりしているからという軽い理由で中国株を買ったことがあるのですが、中国株バブルが崩壊すると、株価は暴落するわ、超円高になって資産が目減りするわというダブルパンチで痛い目に遭いました。

 その後、しっかり勉強するようになりました。株価の暴落を予知することはできませんが、覚悟だけはしておいた方がいいです。

 それから、米国株も、ITバブル崩壊後の2000~2013年ごろはほぼ成長しませんでした。そういう時期が来るかもしれないことは覚悟しておく方がいいし、そうなっても今のまま積立投資をするのか、考えておく方がいいと思います。

シータ:今の株価の上昇局面しか見ていない人は多いと思いますが、この先10年間、株価が低迷した時に耐えられますかということを考えてみてほしいと思います。

 相場に期待しすぎてもだめだし、悲観しすぎてもだめです。呼吸をするように自然に積立投資ができていれば問題ないと思うのですが、もしポジティブになりすぎているようならいったん冷静になった方がいいと思います。