投資を始めるタイミングは「投資したい」と思った時でいい
――皆さんの投資スタイルを教えてください。また、投資初心者はどんなやり方で、何に気を付けたらいいでしょうか。
シータ:僕は、インデックス投資と呼ばれる、世界経済に満遍なく投資をして無難なリターンを得ていきましょうという、あらゆる投資の中でも堅実な部類に入る投資のスタイルです。
最近は相場が良かったので、初心者の皆さんはリターンの高い商品に目が行きがちだったと思うのですが、リターンの背後にはリスクが隠れていることを認識してほしいなと思います。
初めて投資をする時に、わざわざリスクの高いものに手を出す必要はないので、最初は全世界株式のような分散投資効果が高く、よりリスクの小さいものを少額資金で始めるといいと思います。
経験を積んで、もっとリスクをとれるという手応えを感じたら、金額を増やしたり、リスクの高いモノに投資するほうがいいですね。
――シータさんは少額・低リスクの投資に関する動画をたくさん上げています。初心者・未経験者も大勢見ていると思いますが、視聴者の方からの質問は、どんなものが多いですか。
シータ:投資を始める前の人からは「今から始めてもいいでしょうか」という「やるかやるまいか」に関する質問、始めた人からは「何に投資すべきか」という質問が多いですね。
――「いつ投資を始めるか」は多くの初心者を悩ませるテーマだと思います。もふ社長さん、小林さんは、どうお考えですか。
もふ:「今は始めるタイミングなのか」と聞かれても誰も答えられないので、僕は興味を持った時に始めるのがいいと思います。質問をしている時点で興味があるはずなので、100円でつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を始めてみればいいんです。
「120円の缶コーヒーを買ってもいいでしょうか」って、誰かに聞きませんよね。飲みたければ買えばいい。それと同じです。100円損すると生活が成り立たない人はいません。
100円が101円になったら1%増えたという体験ができるし、積立ならドルコスト平均法のメリットを享受できます。それでもし、値下がりした時に心が痛くなったらやめればいいし、面白そうと思ったら本格的に勉強すればいいと思います。
小林:僕も、もふさんと同じで、思い立ったタイミングで始めた方がいいと思っています。ネット証券の投資信託は月100円という少額からスタートできますよね。つみたてNISAのような積立投資は、仕組みをちゃんと理解して長い目で見ていくものです。
「今株高っぽいので始めない方がいいですか?」と聞かれますが、もし買った後に値下がりしても、長い目で見て、最後に上がっていればいいので、思い立ったら始めて下さいと答えています。
もふ:私の投資はお二人とは違う集中投資スタイルなので、万人にはお勧めできません。2013年に買ったのがミクシィ(東1・2121)で、ゲームのモンスターストライクがバズったタイミングで、全資産の8割9割を投資し、ぽっと上がったタイミングで利益を確定しました。
1つの銘柄を調べられるだけ調べて、これは将来的にどれくらい利益を上げそうなのか、売上は上がり続けるのか、PER(株価収益率)がどれくらいなのか、それらが株価にどれくらい反映されるかを見込んで仕込むという感じです。
分散投資をして安定的に積み立てていきたいという人はそれが答えですし、僕みたいに資産を100倍にしたいというのなら集中投資です。
今は不動産投資が中心なので、入居者が見込める1億円弱の物件を相場よりも安く買えそうで、高く売れそうな物件を厳選して1、2年に1棟を買っています。銀行から融資を受けているので、かなりレバレッジをかけて1点集中していることになります。
その分、今は株に集中投資をせずにインデックス投資のような安定運用に切り替えています。初心者は、いつまでにどれくらい増やしたいのかということを明確にして道筋を考えた方がいいですね。
リスクは自分が納得できる範囲で。無意識にリスクを取っていることも
シータ:若い人は時間があるので、リスクを取れるということを言われますが、リスクを取る覚悟があるのならいいと思います。どうしても失敗したくない人はリスクの小さいものから入る方がいいですね。
投資は就職先を決める作業に似ていて、安定した大企業に就職したいという人と、急成長しそうなベンチャーがいいという人もいる。どちらの価値観でもいいのですが、どちらを選んでも覚悟が必要だということだけは押さえてほしいです。
もふ:年齢に関係なく、納得してやるのならいいのではないかな、と思います。投機に近いことをして大きなリターンを得て成功した人もいるし、コツコツとドルコスト平均法を使って積立をして資産を大きくした人もいます。
いろいろなタイプの成功者がいるので、どの成功者が一番自分に合っているのか、自分にとって再現性があるのかを考えて、まねをするのがいいと思います。
小林:ちょっと気をつけた方がいいと思うのは、自分が思っている以上に、無意識のうちにリスクを取っている人が多いことです。
最近で言うと「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を買っておけばいいと考えている人は多いと思いますが、それって債券重視の商品に比べると値動きが大きいじゃないですか。
今は株式相場が好調だからいいのですが、何かのショックが起こって想定以上に値下がりした時に大丈夫かな、耐えられるのかなと心配になることがあります。
僕は、最初のうちは商品を比較しながら運用するのがいいと思っています。米国株式か全世界株式どちらかと、8資産分散型のバランスファンドや債券重点型のファンドを一緒に持って、同じ金額を積み立てて運用するんです。
すると値動きに差が出てくるので、リスクが実感できると思います。そうやって経験を積むことが大切です。
――今は米国株式を魅力的と紹介する情報も多く、全米株式のファンドや米国株式に全ての投資資金を使う人も多い印象です。こういった一点突破の投資についてはどう思われますか。
もふ:アベノミクス以降に投資を始めた投資家は、本当の恐怖を体験していない人が多いと思います。
僕は、値上がりしているからという軽い理由で中国株を買ったことがあるのですが、中国株バブルが崩壊すると、株価は暴落するわ、超円高になって資産が目減りするわというダブルパンチで痛い目に遭いました。
その後、しっかり勉強するようになりました。株価の暴落を予知することはできませんが、覚悟だけはしておいた方がいいです。
それから、米国株も、ITバブル崩壊後の2000~2013年ごろはほぼ成長しませんでした。そういう時期が来るかもしれないことは覚悟しておく方がいいし、そうなっても今のまま積立投資をするのか、考えておく方がいいと思います。
シータ:今の株価の上昇局面しか見ていない人は多いと思いますが、この先10年間、株価が低迷した時に耐えられますかということを考えてみてほしいと思います。
相場に期待しすぎてもだめだし、悲観しすぎてもだめです。呼吸をするように自然に積立投資ができていれば問題ないと思うのですが、もしポジティブになりすぎているようならいったん冷静になった方がいいと思います。
2022年の経済環境はインフレ含みの「やばい感じ」に?
――2022年は投資家にとってどのような年になりそうですか。
もふ:僕は2022年の日本経済をポジティブには捉えていません。
景気後退期に入ってGDP(国内総生産)は減り、給料が上がらず、それでいて社会保険料負担は増える、スタグフレーションのように物価が上昇して、円安が進んでいって……ちょっとやばい感じになるのではないかと予想しています。
その時どうするのかは、今の時点では決めていませんが、不動産投資家としてよく考えないといけないと思っています。
シータ:僕自身の予想は当たるとは思っていないので、予想はしますが全然あてにしていません(笑)。だから、読者の皆さんも僕の予想を信じて行動を起こさないでくださいね。という前提でお話すると、来年はインフレの脅威が迫っている感じがしています。
このまま全世界にコロナがまん延するようなら、さらなる金融緩和をすることになるけれど、そうするとインフレが加速します。経済はコロナとインフレの板挟みみたいな状況になっていると思います。
2022年は米国株も含めて、株式投資は厳しく、インフレに強いビットコイン、ゴールド、不動産のような投資の方がいいと思っています。でもこの話はうのみにしてはダメですよ(笑)。
相場以外で注目しているのは、2022年4月から高校家庭科で「資産形成」の内容が必修化することです。それが若い投資家の知識のベースアップにつながればいいですね。
小林:2022年の予測という流れで来ていますが、ちょっと切り口を変えていいですか? 2021年秋ごろに、所得再分配の一環として金融所得課税を強化するというニュースが話題になりましたが、今後もし税率が引き上げられると個人投資家の熱が冷えると思っています。
だから、投資がしやすいように、つみたてNISAの非課税枠を120万円に引き上げて12カ月できれいに割り切れるような金額にするとか、そんな投資家が喜ぶような流れがあるといいなと思います。
もふ:今のつみたてNISAの非課税投資枠、年40万円までだと、月3万3,333円という半端な金額になってしまいますよね。
小林:半端ですよね(笑)。NISAのモデルになった英国のISAは少し制度上の仕組みは違うのですが、年2万ポンド(約300万円)の非課税枠があるので、それくらいまで引き上げてくれてもいいのではないかと思います。
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>>前編:投資は穏やか、身バレ事件も!?人気YouTuberが振り返る2021年
>>後編:2022年以降はどんなコンテンツを作りたい?
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