2022年見通し:政策引き締めなどで下押し圧力、2022年に5%に成長減速も
世界的な景気回復局面は後半に入り、米国の金融引き締めと中国の景気減速が新興国市場や国際商品相場の変動要因となる可能性が出てきた。中国経済は政策的な引き締めや外需後退で下押し圧力に直面し、短期的には安定化が最優先課題。BOCIによると、政府は緩やかな緩和政策を採用し、マスマーケット向けの住宅需要を満たすとともに消費の回復を促し、低炭素化と経済発展を両立させるためのかじ取りに注力する見通しという。
BOCIによれば、中国経済は政策的な引き締めと新型コロナの散発的な感染再燃を受けて再び減速傾向を示している。実質GDP(国内総生産)成長率は2021年に前年比8.1%に達するとみられるが、その後は2022年に同5%、2023年には4.9%に減速する可能性がある。
経済指標を個別に見ると、中国のモノの輸出は、世界に先駆けた景気回復やサプライチェーンの総合力を強みに、2021年に前年比30%の伸びを示す見込み。ただ、2022年には同7%増に減速するとみられる。
固定資産投資は2021年に前年比5.8%増加した後、2022年には3.6%に減速する見込み。緩やかな緩和策を背景に、不動産市況は2022年上期に底入れする見通しだが、デレバレッジ(過剰債務の抑制)が進行したことで、不動産セクターのこれまでの成長局面には終止符が打たれた。不動産開発投資は2021年に5%増加した後、2022年には同2%のマイナス成長となる見通しという。また、インフラ部門の固定資産投資は、地方政府の土地販売収入の縮小に伴う資金難や低炭素化政策に直面し、2021年に0.5%の小幅増にとどまった後、2022年も3%の緩やかな伸びにとどまる見込み。製造業投資は2020-2021年に年率平均4.9%増加し、2022年には前年比6%に加速する可能性が高い。
PPI(生産者物価指数)上昇率は2021年の前年比8.2%から2022年には2.4%に落ち着く見込み。CPI(消費者物価指数)上昇率は2021年の1%から2022年に2.3%に上向く。食品価格のデフレサイクル終了とサービス価格の緩やかな上昇観測が理由という。
一方、国内金融政策について、BOCIはまず、緩やかな緩和方向への調整を見込む。2022年上期には、安定成長維持に向けた適度な流動性の供給や信用緩和を予想。続く下期には、国内経済の安定化と米利上げを受け、政策を微調整する可能性が高いという。
人民元相場に関しては、米中金利差の縮小などから、2021年末に1米ドル=6.4元、2022年末には同6.7元と、元安トレンドを予想している。
2022年には、安定成長維持に向けた政策のカギになるのは消費刺激策。低所得層支援によって消費を促し、手頃な価格のマイホーム取得を促進。さらにサービス消費を促すために、人口の流動性を高める可能性がある。一方、低炭素化と経済発展のバランスを取るためには、エネルギー構造転換をスムーズに行う必要があり、低炭素化政策はこれまでよりやや慎重に、段階的に進める可能性が高いという。