ROEは企業の稼ぐチカラの強さが見えるモノサシ

 当然ですが、企業が生み出す利益が大きい、もしくはその期待が大きいほど、その利益でさらなる投資を行って企業が成長することができ、株価の上昇や配当金の増額への期待が高まり、株主の利益に貢献することになります。

 そこで、BPS(1株あたり純資産)1,000円から生み出される利益(EPS100円)の大きさの割合から、稼ぐチカラの強さや効率性を見ようというのがROEになります。ROE=EPS100円÷BPS1,000円×100=10%と分かります。

株価指標と財務指標の関係性を把握すれば、投資判断ができる

 PER・PBR・ROEの3者を関連づけて把握すると、いろいろと便利な面があります。

 例えば、PER(株価収益率)が311倍で、PBR(株価純資産倍率)が0.7倍の銘柄があったとします。セオリー通りに考えれば、「PERは数百倍台の割高だが、PBRは1倍割れで割安」という、矛盾した投資判断になってしまいます。

 仮に、この銘柄の株価が280円とすると、この株価を元にして、先ほどのような図が作成できます。

 まずは、BPS(1株あたり純資産)とEPS(1株当たり利益)を計算します。

 BPSは、株価280円÷PBR0.7倍で400円
 EPSは、株価280円÷PER311倍で約0.9円

 次に、ROEを計算します。

 ROEは、EPS0.9円÷BPS400円×100で0.225%

 そして、下のような図が作成できます。

(図2)PBR・PER・ROEの関係:その2

 図にまとめると、株価を資産価値で見たPERは確かに割安ですが、EPS(0.9円)がBPS(400円)に対して少なく、ROEが0.22%とかなり低いことが分かります。つまり、「この銘柄は稼ぐチカラに問題があり、現時点では投資対象としてふさわしくないかも」というように判断できます。