今週のハードルその1:FOMCに対する評価の織り込み直し

 そのため、薄商いが想定され、「閑散に売りなし」の相場格言通り、株高の展開に期待したいところではありますが、越えるべき2つの「ハードル」が控えています。

 そのひとつめは、「先週のFOMCに対する市場の評価の織り込み直し」です。図1では日経平均の動きを見ていきましたが、米国株市場の動きについても見ていきます。

■(図3)米NYダウ(日足)の動き(2021年12月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 まずは、NYダウ(ダウ工業株30種平均)です。FOMC後に3万6,000ドル台を回復するまで上昇しましたが、結局乗せきれず、週末にかけて失速していき、結局、FOMC前の株価水準を下回って週間の取引を終えています。

 25日・50日移動平均線を下抜けたほか、11月8日の最高値を起点とする上値ラインの攻防が意識されそうです。ちなみに、25日・50日移動平均線のデッド・クロスも出現しています。

■(図4)米S&P500(日足)の動き(2021年12月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 S&P500も、FOMC後に株価が上昇し、11月22日につけた最高値を更新しそうな動きを見せたものの、超えることはできず、50日移動平均線や節目の4,600pあたりまで押し戻され、NYダウと同様に、FOMC前よりも株価を下げています。

■(図5)米NASDAQ(日足)の動き(2021年12月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQもFOMC直後に株高で反応した後に失速しています。25日移動平均線を上抜けることができず、25日移動平均線の上値の抵抗(レジスタンス)傾向が続いたことによって、「ダブルトップ」が完成した状況です。

 また、上値ラインと、1万5,000pで三角もちあいを形成しつつあるようにも見えますので、1万5,000p割れには注意が必要です。

 以上のように、結果公表直後の日米の株式市場は上昇という初期反応を見せましたが、その後失速し、FOMCが年末株高へのスイッチにならなかったことになります。

 今週以降の株価がもう一段階、上に押し上げるには、日経平均ならば75日移動平均線や2万9,000円水準の上放れ、NYダウは3万6,000ドル台乗せ、NASDAQの25日移動平均線上抜け、S&P500の最高値更新基調など、テクニカル的な節目を本格的に突破することが必要になります。

 また、FOMCそのものに対しても、急ピッチなテーパリングやその後に控える利上げ観測によって、新興国が通貨防衛のために利上げに迫られたり、低格付け企業の債務負担増などの影響が懸念されるほか、インフレと景気認識、QT(金融引き締め)の議論など、今後は再評価の動きが出てくることになります。