【編集注】
■この記事は、2018年9月に初回公開されたものです。トウシル編集チームが、2022年12月20日現在の情報に合わせて再編集しています。
■記事の内容は、現行の一般NISA利用者を対象にしています。2024年1月から始まる新NISAでは、ロールオーバーが不要になります。
関連記事:新NISA、プロと投資家はどうみる?改正まとめ:恒久化、年360万円へ
新NISA制度について、詳しい説明はこちら

■2022年ロールオーバーの申込期限は、金融機関により異なります。楽天証券は2022年12月30日(金)15:00まで。

損しているのに税金を取られてしまう?

 現在のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座では、5年間の非課税期間が終わると、通常の口座(一般口座ないし特定口座)に保有株を移管することになります(ただし後述のロールオーバーも可)。

 実は、移管後に保有株を売却した際、「損をしているはずなのに税金がとられる」という何とも理不尽なことが起こる可能性があります。

 例えば、2018年のはじめにNISA口座にて100万円で買った銘柄の株価が、5年後の2022年末に40万円まで値下がりしていたとします。

 非課税期間の5年間を経過しましたので、原則として通常の口座へ移管することになります。移管の際の株価は、2018年はじめの購入価格100万円ではなく、移管時の時価である40万円となる点がポイントです。

 もし、移管後に90万円まで株価がもどり、「だいぶ含み損が減ったので売ろう」と思って売却すると、買値より10万円損をしているはずなのに、(90万円-40万円)×20.315%=10万1,575円の税金がかかってしまうのです。

 なぜこんなことが起こるのでしょうか? それは、NISA口座で保有していた期間の含み益や含み損は、非課税期間終了後通常の口座へ移管する際に全てなかったものとされてしまうからです。

 つまり、NISA口座にて100万円から40万円に値下がりした分の60万円の損失は、移管時に切り捨てられてしまうのです。

さらに5年間NISA口座にロールオーバーして株価回復を待つ作戦も

 なお、上記の例では5年間の非課税期間が経過した後、通常の口座に移すのではなく、2023年分の非課税枠を使って再びNISA口座にロールオーバーすることも可能です。つまり、さらに5年間の延長戦を行い、株価の回復を待つのです。ただしこの場合も、ロールオーバー後の価格は、当初の購入価格100万円ではなく、ロールオーバー時の時価である40万円です。

 このように5年経過した2022年時点で含み損を抱えた状態の株の選択肢は、「通常の口座に移管」「NISA口座にロールオーバー」、そして「売却」の3つありますが、大きな含み損をかかえてしまって売るに売れない状況なら、NISA口座にロールオーバーして株価の回復を待つのが定石なのでしょう(筆者は大きな含み損を抱えたまま持ち続けることはしませんが)。