そして国内の街角景況感も急改善に転じた
15日に発表された日本のGDP(国内総生産)成長率(7-9月期の速報値)は年率マイナス3.0%と低調を印象付けました。一方、10月のソフトデータのなかには国内景況感の改善を示すものもあります。内閣府が9日に発表した「景気ウォッチャー調査(10月分)」の現状判断DIは前月比+13.4ポイントの55.5となり2カ月連続で改善しています(図表4)。
同調査は、街角景気に敏感な小売店主やタクシー運転手など約2,000人に「肌感覚の街角景気」を聴取する調査として注目されており、2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断DI」も2カ月連続で改善し10月は57.5に上昇しました。
ワクチン接種が進みコロナ感染者が減少し、緊急事態宣言が解除されたことで、飲食関連などサービス業関係者の景況感が改善した影響が大きいと考えられます。
内閣府の聞き取り調査によると、飲食業関係者からは「宣言が解除され酒を出せるようになったため、週末は今までの2~3倍以上の客が来店している」との喜びの声が寄せられ、雑貨専門店の従業員からも「10月に入り、目に見えて店の前の通行量が増えている。街全体の人の流れも活性化していて、年末に向けた消費に期待できる」との声も上がるなど、クリスマス商戦に向け希望が見えてきた現状です。
「景気は気から」との格言がある通り、コロナ禍で抑えられていた消費意欲が顕在化する「リベンジ消費」が内需を押し上げるように思われます。業種により、半導体などの部品調達不足、資源高、人手不足の影響を受け厳しい状況を余儀なくされている企業もあります。
ただ、ウイルス感染が落ち着いてきたなか、実際の街角景況感が改善していることも、株式市場にとってプラス要因となりそうです。
<図表4:国内の「街角景況感」が急改善している>
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