ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄
10月の日経平均株価は前月末比で1.9%の下落となりました。
米連邦政府の債務上限問題や中国恒大集団の過剰債務問題に対する警戒感の高まり、原油高などに伴うインフレ懸念、岸田新内閣の支持率低下などがネガティブ視されて、前半6日かけて8日続落の展開となりました。
ただ、その後は、米債務上限問題の先送り、中国恒大集団に対する過度な警戒感の後退、岸田氏が提唱していた金融課税強化への懸念後退などで、底打ちから戻りを試す展開になっています。
こうしたなか、ランキング上位銘柄はやや売り優勢の展開になりました。9月末の配当権利落ち直後なだけに、処分売りの動きが総じて優勢になった格好です。
下げが目立ったのが武田薬品(4502)で、睡眠障害の治療薬候補について臨床試験を中断すると発表したことがマイナス視されました。日本郵船(9101)や商船三井(9104)などの海運株にも、権利落ち後の手じまい売りが継続しました。
また、米長期金利の伸び悩みで、三井住友FG(8316)やりそなHD(8308)など銀行株もさえない動きとなりました。
今回、新規に上位15銘柄にランクインしたのは、かんぽ生命(7181)、HUグループ(4544)、双日(2768)の3銘柄で、除外は、丸紅(8002)、ふくおかFG(8354)、アサヒHD(5857)でした。
かんぽ生命やHUグループが大きく下落するなど、ランキングの入れ替えは主に株価の上下によるものとなっています。武田薬品を除くとランキング上位の変動はほとんどなかった状況です。
ちなみに、新規ランキングの双日(2768)は9月末で1:5の株式併合を行っており、年間配当金は70円の計画となっていますが、それをベースにすると配当利回りは3.73%であり、市場予想では大幅な増配を見込んでいるようです。
ランキング銘柄と相場の注目点
商船三井(9104)は29日に今期の増配を発表、年間配当金は従来の550円から800円に引き上げています。これをベースにした配当利回りは11.17%であり、現段階ではコンセンサスの修正が追いついていない状況です。
さすがに配当利回り水準が10%を超えてくると、株価には割安感が意識されるところです。
11月4日には日本郵船(9101)も決算発表が予定され、一段の増配アナウンスの可能性があります。現在は年間700円配当を計画ですが、市場予想はさらに100円程度の増配を織り込んでいます。
今後は年間配当計画を示していないJFEHD(5411)や日本製鉄(5401)などの配当政策も注目されます。
JFEHDの予想配当利回りは、前期の10円配当に対して105円水準がベースになっていますが、上半期に60円実施のため、一段の配当水準の切り上がり余地は大きいとみられます。
また、日本製鉄は前期の10円配当に対して122円水準がベースになっています。上半期55円実施のため、こちらは、表中の利回りは適正水準ともみられます。
ほか、ミクシイ(2121)の予想配当利回りに関しては、会社計画比での配当金増額を織り込んでいます。西松建設(1820)は29日に市場期待を上回る増配を発表、年間221円配当を計画で、配当利回りは6.73%となります(商船三井と同様に、表の数値はいずれ引き上げとなる公算)。
11月2~3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、テーパリングの開始が正式決定される見込みです。
織り込みは十分に進んでいるとみられますが、実際にアナウンスされた後の長期金利の動向は注視したいところです。金利が上がると相対的にバリュー株が優位になるため、素直に長期金利上昇という反応になれば、高利回り銘柄などにはフォローとなるでしょう。
逆に、高配当利回り銘柄のリスク要因としては、仮に、日本郵船が今回の決算で増配を発表した場合、当面の海運株の好材料出尽くしと受けとめられる可能性が挙げられます。
高利回り銘柄の代表株である海運株の下落は、他の高利回り銘柄への関心を短期的に低下させる公算もあります。
ほか、決算発表全般的には、外食・小売・鉄道などコロナダメージ業種、あるいは半導体不足によるマイナス影響が大きかった自動車株などの悪材料出尽くし感の台頭が注目されるでしょう。