40年以上かけて成熟を深めた米国の401(k)とIRA、日本はその背中を追う
2021年10月1日、日本の確定拠出年金制度が施行されてから20年の日を迎えました。
厚生省(当時)と自民党の間で法案提出の準備が進められている情報をチェックしたり、国会で法案がなかなか通過せずにやきもきしたりする時代を知る者としては、この制度が廃れることもなく、成人の日を迎えたことをうれしく思います。
日本版401(k)と呼ばれることもあるように、米国の401kプラン(企業型DC[確定拠出年金]に相当)とIRA(個人退職勘定、iDeCo[イデコ:個人型確定拠出年金]に相当)という、1980年代以降大きく普及した制度が日本の制度誕生の参考となりました。言ってみれば、20歳以上の先輩ということになります。
この2制度は、米国では国民の老後資産形成を担う重要な制度として機能しています。過去にも紹介しましたが、平均残高は10万ドルを超えています。2021年6月末の最新データ(フィデリティ・インベストメンツ調べ)によれば、401(k)の平均残高は12万9,300ドル、IRAの平均残高は13万9,000ドルまで上昇しています。
日本も20年かけて、その背中を追いかけています。年金貯蓄制度の特徴として、現役世代の利用者が拡大しているあいだは、資産規模は大きくふくらみ続けます。米国の両制度が20年目から40年目にかけて大きく成長したように、わが国の確定拠出年金制度も、成長を続けていくことになるでしょう。
企業型DCもiDeCoも一体となって加入者2,000万人を目指す
「次の20年」を見据えて、日本の確定拠出年金制度が目指すべき道は、まずは利用者層の拡大でしょう。
1,000万人というのはあくまで通過点であって、まだまだ拡大をしていかなければならない制度です。今のiDeCoは年50万人のペースで利用者数が拡大していますが、企業型DCを含めて、年80万人くらいの規模拡大をこれからも維持していきたいところです。
これが10年続けば、800万人の利用者増を10年で獲得することになり、「加入者2,000万人」が見えてきます。つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の口座開設状況や国民の老後資産形成への関心の高まりを見る限り、これは決して不可能ではないと思います。
iDeCoについては65歳までの利用を拡大する法改正、企業型DCについては70歳まで加入可能とする法改正(ただし会社が高齢期も加入させる制度改正が必要)が、それぞれ準備されています。
また、iDeCoについては企業型DCとの同時加入についての規制緩和(企業側の制度改正がなくても加入できる)も実施されることから、利用者数増に期待が集まります。
もちろん、すでに加入可能な立場であっても未加入のままでいる人は多く、こうした人たちへの加入促進策も求められるところです。
ただし、制度スタートから20年を迎え、加入者の減少も始まります。今まで積み立ててきた人たちが、60歳以降になって受け取りを選択する時期に来ているからです。
加入者の増減それぞれの要素が生じる中、40年を迎える確定拠出年金は、2,000万人を超えて、成長を続けるステージに立っているでしょうか。