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2010年後半に向けての米国経済・株式相場の見通し(3)
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

2010年後半に向けての米国経済・株式相場の見通し(3)

2010/8/9
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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これは去る7月4日及び10日に東京で大阪で開催された、楽天証券サービス開始11周年セミナーでの講演を要約したものです。今回は三回目です。

アメリカが経験した1940年代の低迷相場……今後の相場がこれを辿るには2つのマクロ環境が満たされるのが条件と考えてきました。

第一に財政均衡への動きです。アメリカでは、ルーズベルト大統領が1937年に打ち出した財政均衡策がその後の景気低迷につながったと言われています。2009年2月以降オバマ大統領は70兆円に上る景気対策を打ち、また今年6月のG20前まではむしろ財政政策継続の必要性を各国に呼びかける立場を取っていました。しかしG20を前後してスペインやイギリスが相次いで増税を実施、G20でも財政均衡が声明にうたわれる結果となりました。しかもアメリカは2010年後半からオバマ景気対策の反動が表れ始め、2010年末にはブッシュ減税の多くが失効する予定です。「景気回復がまだ脆弱な中、時期尚早な財政均衡策を取ってしまった」1937年の状況に類似してきてしまっているのです。

第二に金融規制強化への動きです。1930年代のアメリカは、1929年株価大暴落の教訓から金融規制が次々と導入された時期でした。1933年グラススティーガル法、1934年証券取引法、1940年投資顧問法など、いずれもそれまでの行き過ぎを是正する規制とはいえ、金融機関への負担は免れません。それは法令順守コストの増加や貸し渋り等の形で、結局は消費者にコストが転嫁される性質の強いものです。そうなるとお金が回りにくくなり、結局は景気低迷の形で影響が表れてきます。さらに今回の金融規制では、「(金融機関)大き過ぎても潰す」「公的資金は一切投入しない」と、正に金融危機を脱出できた要因である「大手19行は守る」(財務省)やTARP(不良資産救済プログラム)資金などの対策が真っ向から否定されています。リスクは低下するとは言え、再びリーマンショックのような事態に陥った時に何が出来るのか、この不安は市場に反映されてくるはずです。

この2つの条件が満たされた事で、この先2-3年、相場は低迷する可能性が高まってしまったように見えます。

しかし私はその、今後2-3年予想される調整相場をむしろ楽観的に受け止めたいと思っています。何故なら、アメリカは金融危機後初めて、問題を先送りしない道を選択しているからです。そもそも身分不相応な借金を消費をしてきたのが問題なわけですから、一時的なショックを和らげるための財政出動は必要としても、中長期的には、借金や消費を身分相応な水準に戻していくべきなのです。金融システムにしても、これまでの緩い規制を利用した過剰なリスクテイクが問題だったわけですから、規制を強化してリスクを抑えていくしかないのです。金融機関の収益力は低下するでしょうが、それは必要な調整過程なのです。

ここで過去20年間のアメリカの住宅価格の推移をご覧いただきたいと思います。2002年までは概ね年4.5%のペースで上昇して来た事が分かります。それが2003年以降、この4.5%上昇線を上放れ、いわばバブルが生じている状態がご覧いただけます。しかし2008年9月以降、今度は住宅価格が4.5%上昇線を下回る状態が続いています。このように幸い、アメリカで住宅価格のバブルが観測されたのはせいぜい5年間だけの話なのです。既にこの2年間は「逆バブル」が起こる事によって調整が進んできていますから、あと3年も経てば住宅バブルの調整も終了する可能性が高いと言えます。このように住宅市場を見ても、ここ2-3年の調整はアメリカの復活に向けてむしろ必要な、ポジティブな調整と呼べるのではないでしょうか。

それではこのような環境の下で、どのような投資戦略を取るのが有効なのでしょうか。ここ2-3年の投資戦略と、それ以降に向けた投資戦略を分けて考えてみたいと思います。

(2010年8月5日記、次号に続く)

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