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破綻はレバレッジ倍率の高い順
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

破綻はレバレッジ倍率の高い順

2009/7/28
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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昨年9月15日リーマン・ブラザーズ破綻の翌朝、私はテレビ東京の朝の番組に出演させていただく機会がありました。その番組の中でキャスターの方から「次の破綻は?」と聞かれ、「銀行業界に広がっていくでしょう」と答えました。

バブルが形成された原因や過程の話を別にすれば、2007年前半から一貫して進行しているのは、住宅をはじめとする資産価格が下落しているという事です。そして破綻していっているのは概ね、レバレッジ(自己資本に対する債務の倍率)の高い順番だという事です。
これまで破綻に至った主体をレバレッジの順番に並べていくと明らかです。

住宅金融において一番レバレッジ倍率の高かったのは本コラムでも2007年後半から幾度かにわたって書かせていただいた(サブプライム問題の本命は?:モノライン(4)(2008年1月29日))モノライン(金融保証会社)でしょう。保証債務の殆どが財務諸表には表れていないため、一見レバレッジの高さを測ることは困難ですが、我々の分析ではモノライン大手のMBIAやアムバックでレバレッジ倍率は100倍を超えていました。これは例えば、100万円の頭金しかないのに、9900万円を借りて1億円のマンションを買うようなもので、無理をしている事は明らかでした。案の定、2007年半ばに70ドルであったMBIA、90ドルであったアムバックの株価はそれぞれ2008年初に10ドルを割るに至りました。

次に破綻に追いやられたのは政府系住宅金融機関であるファニーメイとフレディーマックでした。これら政府系住宅金融機関の法定自己資本比率は2.5%なので、これだけだとレバレッジ倍率は40倍(1÷2.5%)という事になります。しかし、この2社は簿外の保証業務も行っていて、それを合わせると50-60倍というレバレッジ倍率になります。この2社は、1回目に訪れた2008年7月の危機においては政府の保証により一旦救済されたものの、9月初に訪れた危機には耐えられず、結局リーマンの一週間前に政府の管理下に置かれる事になりました(ファニー・フレディー問題(6)~ファニー・フレディー公的管理下へ(2008年9月8日))。

その次がリーマン・ショックに代表される大手証券会社でした。大手証券会社は近年レバレッジ倍率を徐々に高め、30-40倍というのが平均の姿でした。破綻の危機はリーマンだけでなく、一瞬にしてメリルリンチ、ゴールドマン、モルガンスタンレーに広がるに至りました。

ここまで来て冒頭の通り「次の破綻は?」と聞かれたら、レバレッジ倍率が10-20倍の業界を考えるのは当然の流れです。レバレッジ倍率10-20倍の業界は何か、を考えた場合、これは明らかに自己資本比率8%(=レバレッジ倍率 1÷8%=12.5)でやり繰りしている銀行業界に他なりません。実際リーマン・ショック後、2008年末にかけて危機はワシントン・ミューチュアル、ワコビア、シティ、バンカメなど大手銀行に広がりを見せました。

預金を保護しなければならないという制約がある以上、政府としてはこの「レバレッジ12.5倍組」を救済しない訳にはいきません。公的資金70兆円がほぼカラカラになるまで使い切り、問題の先送り措置を講じて、ようやく今年3月に一旦金融システムの混乱を沈静化するに至ったのです。このコラム(「問題先送り」で相場は上昇へ(2009年4月9日))で書かせていただいた通り、米当局は今回、かなり時間を稼ぐのに成功した感があります。一方、私はかなり時間を稼ぐのには成功したものの、残念乍ら決してこれで終わった訳ではないと見ています。

これまでの順番で行けば、次は「レバレッジ倍率5倍」に危機が訪れる事になります。そして実際、私はこの「レバレッジ倍率5倍組」が次の金融危機の引き金になると考えています。その「レバレッジ倍率5倍組」の正体は何なのか(7月初の楽天証券10周年セミナーにお越しいただいた方はご存知ですね)、次号でご説明したいと思います。

(2009年7月27日記)

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