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「問題先送り」で相場は上昇へ
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

「問題先送り」で相場は上昇へ

2009/4/9
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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1月末に東京で講演させていただいた際、米国株式相場は3月頃に底を打つとの予想をご紹介しました。また、毎月初めにオンラインで開催させていただいている「自由の女神」運用報告会でも3月に底が来る可能性が高いのと、その理由について私の考えをご説明してきました。こう考えてきた理由は以下の通りです。

第一に、長期的に米国株式が天底を付けるパターンを見ていると、天でも底でも反転するまでに約6ヵ月間の揉み合いが観測されます。リーマンショックを受けて相場が急落したのが去年9月でしたから、逆に言えば6カ月が経過する3月位までは待たなければならないとの考えでした。第二に、自動車大手の去就を巡る期限が3月末に設定されていました。すでに債権者と従業員組合の話し合いという、実質的には破綻後の債権者集会の状態で、後は誰が宣告するかという問題でした。3月になって遂に大統領がその役割を担った事で、少なくとも自動車大手の去就が市場の懸念材料になる事はなくなったのではないかと思います。

第三に、1-3月期というのは経済も企業の決算も最悪の時期となる見込みです。金融危機の影響が経済を直撃する一方、オバマ景気対策の影響はまだ出てこないからです。しかし4月以降は景気対策の影響が出てきます。企業の決算も好転するでしょう。第四に、4-5月は税税控除目的による個人年金資金が投資信託などに流入しやすい時期です。特に今年は株価が大きく下落した後で、長期的な積立資金にとっては非常に魅力的な水準にあるため、需給の改善が期待できます。

それに加えて最近、不良債権とそれに伴う金融機関の資本不足という大きな問題を先送りする2つの措置が発表されました。一つは前・前々号でご紹介した官民投資プログラム(PPIP)そしてもう一つは先週発表された時価会計ルールの緩和です。

時価会計基準の緩和をボクシングに例えてみましょう。ライト級で体重を60キロ以下に抑えなければならないボクサーがいたとします。今回の措置は、体重検査をなくし、ボクサーの自己申告により資格を判断するようなものです。もちろん、根本的な解決策は体重を60キロ以下に抑え、試合前の体重検査にパスすることです。すぐにこれが無理なのであれば、私は体重検査は実施する一方、体重制限を一時的に65キロにすれば良いと思います。少なくともこれで透明性は保てますし、一時的の措置にしておけば、ボクサーは60キロ以下に向けて努力するはずです。

しかし、今回の措置では一旦体重検査をなくすという、最悪の措置を取ってしまいました。試合に参加したいボクサーが、正直に62キロと申告するはずはありません。市場から退場したくない銀行がバレない範囲で資産評価を膨らませようとするのは当たり前の事です。もともと何が含まれているのか分からない、その評価額も分からない金融機関の資産がますますベールの中に包まれ、問題が先送りされてしまった事になります。体重検査さえ続けていれば60キロ以下に向けて努力したはずのものを、体重計に乗る事さえ止めてしまった事で、将来気付いたときには70キロ、という事になりかねないリスクを孕んでしまった事になります。

とはいえ、今回の「問題先送り」措置であるPPIPと時価会計ルールの緩和で、市場には少なくとも時間の余裕ができたような感じがします。あまりに悪材料が多すぎたが為に「オバマ就任」でも上昇する相場ですから、「問題の先送り」が上昇要因になるのは想像に難くありません。当面市場は安値トライよりも反発の可能性の方が高いでしょう。先送りされた問題がいつ再び顕在化してくるか、は今後の大きな課題ですが、それを考える時間、即ち反発の時間はこの先十分あるのではないかと考えています。

(2009年4月9日記)

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