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サブプライム問題の本命は?:モノライン
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

サブプライム問題の本命は?:モノライン

2008/1/29
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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株式で信用取引をしたり、通貨先物取引をする際、証券会社や先物業者に証拠金を置く事が求められます。株式や通貨の動きが予想に反して含み損が出れば、証拠金が不足し、証拠金の積み増しを求められます。これがいわゆる追加証拠金、追証、アメリカではマージンコールと呼ばれるものです。

現在、金融市場では現物取引でない限り、殆どの場合このように証拠金を置いたり置かれたりというシステムが構築されています。相手方の損失が膨らんできた場合でも、証拠金をきっちり預かっておけばいざという場合に当方が損失を被るリスクが回避されます。逆に、当方の損失が膨らんできても、証拠金を積み増しておけば、いきなり払えないような大金を請求されて破綻するような状況が回避できます。現代の金融市場は、証拠金によって、いきなり金融システムが麻痺してしまうようなリスクを回避しているのです。

例えば 爆弾抱えるCDO市場 (2007年6月22日)で証券会社ベアスターンズ傘下のファンドが事実上破綻しました。このファンドは自己資本に対して何倍ものレバレッジを使っており、保有していたCDOの価値が低下した事によって証券会社メリルリンチにマージンコール(追証)をかけられた事がきっかけとなりました。しかしもし、メリルリンチがマージンコールをかけなかったらどうなっていたでしょうか。その後もCDOの価値は暴落し続けましたので、これらファンドどころか、メリルリンチも共倒れ、そしてメリルリンチと取引のある金融機関も、と金融システム全般に影響が広がっていたかもしれません。マージンコールは痛みを伴うものですが、システム全体に大きな悪影響が広がるのを防ぐ役割をしているのです。

しかし現代の金融市場の中で、数少ない、マージンコールを求められない主体がいます。これが債券保証会社、モノラインです。例えば大手金融機関がモノラインの保証が付いた債券を購入して、その債券から予想される債務不履行率が上昇したり、モノライン自体の財務体質が悪化したとします。するとモノラインがその債券の保証をしなければならない確率やその保証に意味がなくなる確率が上昇します。その債券を保有している金融機関としては、債券の保証が危うくなるので、それを補填する証拠金を求めたいはずです。しかしモノラインには証拠金は求められないのです。理由はモノラインはNY州保険局の監督下にある「保険会社」であるからです。例えば貴方が加入する生命保険会社の財務体質が危うくなり、保険金が支払われない確率が上昇しても、貴方は何もできないのと同じです。

証拠金が求められるのであれば、債券の保証が危うくなっても、それまでに積み立てられた証拠金を使って問題を最小限に抑える事ができます。しかし現在のように、いくら債券の保証が危うくなっても、債券の保有者は証拠金を求める事ができないのです。その結果、問題が積もり積もって、最後にはモノラインが支払えないような損失となり、システム全体を揺るがす事態になりかねない仕組となっているのです。簡単に言えば、「いきなりドカン」と来るリスクを内包しているのです。

私から見れば、モノラインは保険料は受け取るが、証拠金の支払い義務はない、後は保険金の支払義務が生じるようなショックが起こらない事を祈るのみ、ショックが起こったらどうせ支払えないので開き直るしかない、そのようなビジネスに見えます。金融が最も発達していると言われるアメリカの金融市場の中、唯一システムが前近代的、脆弱な部分で、遂にその問題が顕在化した、これが今回のモノライン危機なのです。

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