アクティブファンドに立ちはだかる「効率的市場仮説」

 インデックスファンドに対して、「アクティブファンド」とは、市場平均指数より優れた投資成果を生み出すように運用されているファンドです。

 ただし、銘柄調査や投資判断をアクティブに行うため、受益者(投資家)が運用会社(信託報酬)や販売会社(販売手数料)に支払うコストがインデックスファンドよりも高めなのが一般的です。

 アクティブファンドの「コスト」は、相対的に優れた投資成果を提供してくれる期待を前提に成り立っているからです。

 そうしたアクティブファンドの前に立ちはだかるのが「効率的市場仮説」と運用成績の実態です。

 効率的市場仮説とは、「株式市場は常に効率的で、好材料も悪材料もほぼすべて株価に織り込み済みである」という考え方です。

 企業の損益や財務面を調査するファンダメンタルズ分析も、過去のデータをもとにしたテクニカル分析も無意味であるとの現代投資理論にもとづく考え方です。

 この理論は、市場全体に連動を目指す低コストのインデックスファンドを活用する「インデックス投資」が最も効率的あるとの考えにつながっています。

 実際、投資の専門家とされるファンドマネジャーが運用しているアクティブファンドの多くが、「コスト控除後の長期パフォーマンス」でインデックスファンドに劣っていたとの統計が数多く公表されています。

 こうしたことから、ICI(米国投信協会)による調査結果(2007~2015年)によると、投資資金はアクティブファンドから流出傾向にあり、インデックスファンドやETF(上場投資信託)に資金が流入してきたことが判明しました(図表2)。

 投資先進国である米国で、コストがかかる割に運用成績がパッとしないアクティブファンドに見切りをつけ、わかりやすくてコストが低いインデックスファンドに対する評価が高まっていることがわかります。

図表2:米国株投信ではアクティブファンドからインデックスファンドに資金シフト

出所:ICI(米国投信協会)のデータより楽天証券経済研究所作成

アクティブファンドから、インデックスファンドや
ETFに資金が移動している