景況感と金利見通しに注目

 テーパリング開始時期については、年内11月か12月に開始とマーケットの見方は分かれていますが、ダラス連銀のカプラン総裁は、8日、現在のデータは9月のテーパリング発表と10月の開始が適切であることを示唆していると発言しました。マーケットの見方よりも早い開始時期の見解ですが、カプラン総裁は今年のFOMCで投票権は持っていません。

 一方でデルタ株の感染拡大の影響によって、テーパリングは年明け開始との見方も浮上してきています。

 来週のFOMCでテーパリングの発表がなくても失望からマーケットが荒れることはあまり想定出来ませんが、それよりもFRBが現在の景気をどのように認識しているのか、また、金利見通しに変化があるのかどうかが注目材料となりそうです。

 8月27日のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長は、「ここ数カ月、労働市場の見通しはかなり明るくなった」と指摘していましたが、9月3日に発表された8月米雇用統計の非農業部門雇用者数が23.5万人と予想(75万人)を大きく下回ったことを受けてどのような労働環境や景気認識を示すのか注目です。

 また、9月8日にFRBが発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では、感染力が強いデルタ株の感染拡大が響き、7月上旬から8月にかけて、景気回復が「緩やかなペースへとわずかに鈍化した」との認識を示しました。前回7月に報告した「米経済は力強さを増した」から、景気判断を引き下げました。

「地区連銀経済報告」は、米国内の12の地区の連邦準備銀行が、それぞれ管轄する地区の経済状況をまとめた経済報告です。表紙の色がベージュ色であることから、「ベージュブック」と呼ばれています。年8回開催されるFOMCの2週間前の水曜日に発表され、金融政策を変更するかどうかの検討資料となりますが、今回のFOMCにどのような影響を与えるのか注目です。