サブプライム問題の次は。。。 (2007年10月29日)で指摘させていただいた懸念が現実のものとなってしまいました。ここで書かせていただいた通り、2月末から「債券市場はパニックに陥」り、「8月のような株価急落」となりました。そして最後の段落で書かせていただいた通り、「少なくとも国債以外の債券には手を出さない事、一部金融関連株に近付かない事、そして爆弾に火が付き始めたら市場の動きに逆らわない事」がここまでの最善の防衛手段でした。悪いニュースは昨年10月に私が懸念していたこのような事態が現実のものとなってしまった事、そして良いニュースは、サブプライム問題に始まった一連の混乱は恐らく今週が最終局面だったと見られる事です。

最終局面の兆候はあちこちに現れました。第一に、今年に入って市場は「サブプライム問題の本命」とも言えるモノラインの問題を遂に捉えました。そしてその後は昨年10月に書かせていただいた上記コラムそのままの経緯もすでに辿りました。第二に、昨年当コラムで5回にわたって「爆弾抱えるCDO市場」というテーマで書かせていただきましたが、その主要プレーヤーであった証券会社ベアスターンズが事実上破綻しました。またそれにより、他の多くの金融機関が破綻の可能性を想定した株価水準で取引されるまでに至りました。

第三に、これらの金融パニックを受けて、恐らく過剰とも言える金融・財政政策が発動されました。今月初、政府系金融機関が購入できる住宅ローンの上限は75%引上げられて約73万ドルとなりました。先週、連銀は流動性供給にAAAの住宅ローン証券を担保として受け入れると発表しました。さらに昨日、政府系金融機関の自己資本規制が緩和されました。これらの対策はいずれもここ数年、住宅金融システムをサポートするものとして議論されてきたものであり、決して付け焼刃的なものではありません。しかも、ここ半年実施されている急速な金融緩和の上に取られている事を忘れてはなりません。

第四に、今回の問題の発端となったサブプライムを中心とする変動金利型住宅ローンの金利が変更となるピークは去年8月から今年9月であり、現在すでに折り返し点を過ぎているという事です。

サブプラムを発端とする一連の問題では多くの住宅金融会社が破綻に追いやられ、大手金融機関が巨額の損失を計上する結果となり、老舗のベアスターンズが破綻する事態に至りました。しかしこれらはいずれも「爆弾を抱えていた」CDO市場の関係者であり、問題を起こした当事者がその責任を負わされるのは仕方のない事です。私はそもそも、サブプライム→CDO→モノライン→債券市場パニックで一連の問題は最終局面をむかえると考えていましたが、今週は様々な条件が揃ったように見えます。

あまり知られてはいませんが、先行性の強い株式群はすでに全体の市場に先駆けて上昇を始めています。そして私が運用するファンドでも今月は、この株式群の買い増しを積極的に進めています。昨年5月に実施したモノライン空売りのように、また将来、この株式群購入の背景をこのコラムで解説させていただきたいと思います。