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モノライン危機の日本株への影響
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

モノライン危機の日本株への影響

2008/1/18
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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1月18日の午後3時前、3連休を控えたNY株式市場で重大なニュースが流れました。格付け会社フィッチが債券保証(モノライン)会社大手、アムバック(ABK)のトリプルA格付けを取り下げ、ダブルAに引き下げたのです。一見、日本の方の目には止まりにくいニュースかもしれません。しかし実は、これはこの先日本の株式市場にも大きな影響を与えかねない重大なニュースです。今回はその事についてご説明させていただきます。

モノラインは世界中で日本円換算約250兆円の債券を保証しています。大手のMBIA(MBI)とアムバックの大手2社が市場シェアの殆どを占めています。保証する債券の格付けがトリプルAであるためには当然、モノライン自体の格付けもトリプルAでなければなりません。何故なら、モノライン自体の財務体質が強固で、もしもの時の支払能力がなければ、その債券に対する保証は意味がないものとなるからです。ですので、債券保証というビジネスは、モノライン会社の格付けがトリプルAである事が前提の上に成り立っています。

AAA債券、実はジャンク債? (2007年11月13日)で解説させていただいた通り、世界中にはトリプルA債券に投資できる投資家はいくらでもいます。しかし格付けが1つ下のダブルAになった途端に投資できる投資家の数は急減します。債券に投資する投資家の殆どは、無駄なリスクを負いたくないからです。実はここにモノラインの大きなビジネスチャンスがあった訳です。「ダブルAの債券をモノラインが保証を付ける事によってトリプルAにする」。これがモノラインのビジネスの根幹であった訳です。

しかしモノライン自体の格付けがダブルAになってしまった今、ダブルAの債券をトリプルAにするような事はできません。即ちモノラインにとって、自社の格付けがトリプルA格を失う事は市場からの退場を意味します。今後債券保証に伴う「保険金」の支払義務は長期間にわたって残る一方、それを補う「保険料収入」が激減してしまうからです。当コラムで解説させていただいてきた通り、これは我々が去年春から描いてきた通りのシナリオです。実際、アムバックの株価も我々が空売りを実行した水準からすでに10分の1以下に下落しています。

問題は今後モノライン格下げに伴う「副作用」が出てくる可能性が高い事です。モノラインが保証していたのは、私がかねてから問題視してきたCDOだけではありません。世界中のあらゆる種類の債券です。モノラインが保証してきたトリプルA債券は今後、自動的に格下げされます。市場ではかなりこの事実を織り込んできていたとはいえ、流動性の低い債券については、まだそれが金融機関の保有時価に反映されていないと思います。格下げがなされれば、金融機関は否応なしにそれを時価に反映させざるを得なくなります。

私は日本の金融機関がこれまで、保有債券がトリプルAである事をさかんに強調してきた事が気になっています。格付け会社フィッチに続き現在、S&Pやムーディーズもアムバックに対する格下げを検討しています。さらにもう1つの大手モノライン、MBIAも格下げの方向で検討されています。モノラインの格下げによって、日本の金融機関が保有するトリプルA債券の評価が下がり、自己資本の減少を補うために保有株の売却に走るような事態になれば…3月決算に向けての道のりは多難と言わざるを得ません。

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