ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄

 8月の日経平均株価は前月末比で3.0%の上昇となりました。

 新型コロナウイルス感染再拡大による景気の減速懸念に加えて、月半ばにかけては、トヨタの減産なども伝わり、下げ幅を広げる場面もありましたが、米金融緩和策の長期化期待などが下支えとなり、もみ合いの動きとなっています。

 ランキング上位銘柄も高安まちまちの動きでしたが、日本郵船(9101)商船三井(9104)などの海運株、JFEHD(5411)日本製鉄(5401)などの鉄鋼株の上昇が目立ちました。各社ともに大幅な増配を発表し、配当利回り妙味が高まったことが株価上昇の要因となりました。

 一方、ENEOS(5020)ミクシィ(2121)などは決算内容がマイナス視されて株価は軟化しました。

 今回、新規に上位15銘柄にランクインしたのは、ミクシィ(2121)、丸紅(8002)日本製鉄(5401)となり、除外となったのは、ふくおかFG(8354)MS&AD(8725)三菱UFJ(8306)となっています。

 ミクシィはいちよし証券がレーティングを引き上げ、コンセンサスレーティングが上昇したことが要因です。今後のスポーツ事業の伸長などを期待材料としているようです。

 丸紅は決算発表後の株価下落で利回り水準が上昇しました。日本製鉄は、業績予想を上方修正し、上半期末中間配当金を55円と発表したことで、予想配当金のコンセンサスが上昇したことが背景です。

 一方、除外となった金融関連株は株価上昇で利回り水準が低下しました。月前半にかけて、米国での早期金融緩和縮小観測が広がり、総じて金融関連株は上昇しています。以前と比較して、ランキング上位には金融関連株が減少している状況です。

ランキング銘柄の注目点

 日本郵船と商船三井は引き続き、会社予想ベースの配当利回りとコンセンサス利回りが乖離しています。会社計画をベースとした利回り水準は日本郵船が7.89%、商船三井が6.47%です。

 実質的に、商船三井の利回り水準は、表にある5.25%は低すぎるといえます。加えて、会社計画以上の利回り水準となっている日本郵船とともに、さらなる増配余地があるとも考えられます。

 また、SBIHD(8473)、JFEHD、日本製鉄は会社側で通期の配当予想を示していません。

 SBIHDは前期の120円配当に対して125円水準がベースとなっており、JFEHDは前期の10円配当に対して90円超水準がベースになっていますが、上半期計画を60円と発表していることで、一段の配当水準の切り上がり余地は大きいとみられます。仮に期末も同様の水準とし、年間120円とした場合の利回りは6.72%となります。

 日本製鉄も上半期末55円の配当計画を発表、通期110円とすれば、配当利回りは4.89%となります。ミクシイ、丸紅などの予想配当利回りに関しては、会社計画比での配当金増額を織り込んでいます。

 最近の海運株や鉄鋼株のように、高い配当利回り水準が主力銘柄の株価上昇の材料となるケースはこれまで多くなかったように思えます。今後も業績の上振れ分がストレートに増配幅の拡大につながって、高い配当利回りとなってくる銘柄が増える可能性があります。

 直近のインフレ進行を考慮すれば、素材株の中で非鉄金属などでもこうした銘柄が増えてくる余地はありそうです。