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 SDGsへの賛同の広がりと歩調を合わせる形で、ESG関連投資への資金流入が続いています。こうした世界の潮流にあやかろうと、実体を伴わない名ばかりの「偽装環境(グリーン)ファンド」の存在が、近年国内外で問題視されるようになっています。いわゆる『グリーンウォッシング』と呼ばれる行為で、環境関連投資を促進したい日本の金融庁も、その排除に向けて踏み込んだ対応へ動きつつあります。

【ポイント1】金融庁が『グリーンウォッシング』排除に本腰

 実体を伴わないのに、あたかも気候変動問題に積極的に取り組んでいるように見せかける、いわゆる『グリーンウォッシング』とよばれる行為が、近年問題視されるようになっています。

 金融庁はこうした『グリーンウォッシング』を排除するため、運用会社やファンドの評価機関への対応強化を検討しています。

 具体的には「ESG」の名を冠したファンドについて、投資先の選択基準にしっかりと気候変動の視点が反映されているのか、また、そのファンドへの投資が社会的な問題の解決へ資するものなのか、その根拠も含めて投資家に向けた情報開示を促すルール作りに着手した模様です。

【ポイント2】背景に巨大化するESGマネー

 金融庁が本腰を入れる背景には、巨額の投資を必要とする環境関連ビジネスの振興と、投資家保護を通じて更なるESG投資の拡大を促したい政策的な意図があります。

 米国の調査会社EPFRグローバルによれば、ESG関連株式ファンド(投資信託)への資金流入は2018年からの累計(7月28日時点)で、約4,410億ドル(約48兆円)にまで達しています。

【今後の展開】脱炭素への取り組みを金融行政からサポート

 ESG投資の拡大に水を差しかねない『グリーンウォッシング』への対策が講じられることで、関連投資促進のための環境整備が今後一段と進むことになりそうです。

 金融庁と東京証券取引所は今年6月に「コーポレートガバナンス・コード」を改定し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)基準での情報開示を行うよう、上場企業に強く促しました。『グリーンウォッシング』対策と合わせ、今後の脱炭素への取り組みを金融行政から強力にサポートしていくものとみられます。