ネガティブインパクトは次第に織り込まれる公算

 中国政府はなぜこのような規制を行っているのでしょうか? 中国政府の基本方針にその答えがあるように思います。

 2020年12月の「中央経済工作会議」で、2021年の重点課題の1つとして「企業による独占禁止と資本の無秩序な拡大の防止」が挙げられています。さらに2021年3月の「全国人民代表大会(全人代)」の5カ年計画で「全人民が共に豊かになることを着実に推進する」との目標が採択されています。

 相次ぐ規制強化は政府の基本方針に沿ったものであることが分かります。

 中国当局の情報開示は常に限定的であることから、投資家に不穏な印象を与えることが多いですが、足元の規制は、前の時代に逆戻りするようなことではなく、民間企業に対する締め付けも長期間続くものではないでしょう。

 景気が下振れする場面では、中国人民銀行(中央銀行)が金融政策面で本土株式市場を下支えする可能性もあります。 

 株式市場がネガティブ事象を織り込む際には、「事象自体が収束する(少なくとも頻発しない)こと」「株価が下落すること」「一定の時間が経過すること」の3つのケースがあります。そして、急落した銘柄が出直ることによってさらに気にされなくなっていくのです。

 そうした時、東京市場では「アリババ集団」「テンセント」など中国IT大手企業と親密な関係にあり、足元株価が下落した銘柄が反発すると考えています。