ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄

 7月の日経平均株価は前月末比で5.2%の下落となりました。新型コロナウイルス感染再拡大による景気の減速懸念に加えて、月後半にかけては、中国の政策リスクの高まりなども警戒材料となりました。

 ランキング上位銘柄も半数以上は下落しましたが、日本郵船(9101)商船三井(9104)JFEHD(5411)電源開発(9513)MS&AD(8725)熊谷組(1861)などプラスサイドのものも多くなっています。

 商船三井は業績上方修正、増配の発表で月末に急伸、日本郵船もつれ高する形となりました。MS&ADは傘下2社が新たな保険金支払いシステムを共同で開発すると伝わったほか、傘下の米企業の投資枠拡大も報じられました。

 半面、米長期金利低下基調が続き、金融関連株は全般的に軟調、原油市況の下落でINPEX(1605)も下落しました。

 今回、新規に上位15銘柄にランクインしたのは、日本郵船(9101)商船三井(9104)INPEX(1605)となり、除外となったのは、SOMPOHD(8630)HUGHD(4544)三井住友トラスト(8309)となっています。

 日本郵船は業績予想を大幅に上方修正、配当性向25%から予想配当金のコンセンサスが大幅に切り上がったことが背景になります。商船三井は7月30日に業績上方修正とともに、年間配当金も150円から550円に大幅引き上げ、配当利回りの上昇につながっています。

 INPEX(1605)はOPECプラスでの減産合意を受けて、株価との連動性が強い原油市況が下落、株安に伴って利回りは上昇しました。

 一方、除外銘柄はそろって株価が上昇し、利回りは低下する形になりました。

ランキング銘柄の注目点

 ランキング銘柄の予想配当利回り水準において、会社計画と乖離が大きいのが日本郵船(9101)と商船三井(9104)です。商船三井は550円配当に引き上げた直後であり、コンセンサスの変更が遅れています。実際の配当利回りは9.7%の水準と捉えるべきでしょう。

 日本郵船は配当性向25%を目安としていることで、現在の業績予想をベースにすると年間配当金は520円程度と試算されます。実際の配当利回りは8.8%程度となります。

 また、SBIHD、JFEHDは会社側で配当予想を示しておらず、SBIHDは前期の120円配当に対して125円水準がベースとなっており、JFEHDは前期の10円配当に対して65円程度がベースになっています。JFEHDに関しては、さらに配当水準が切り上がる余地が大きいように感じます。

 企業の配当政策に対する意識の高まりも背景に、業績が好調な銘柄の中では、商船三井のような大幅な増配銘柄が今後も相次ぐ可能性はあります。もともと配当利回りの高い銘柄の一段の増配アナウンスは評価が高まりやすいと考えられます。

 一時的に新型コロナ感染が再拡大していますが、世界的な経済活動の回復基調に大きな変化はないとみられ、目先は、高利回り銘柄中でも景気敏感株などがより妙味が強いと考えられます。