8月の事件簿

 夏枯れ相場になっても、8月にはマーケットに大きな影響を与える経済的、軍事的事件が時々発生することがあることに、留意しておく必要があります(下記参照)。これらの事件は円高を引き起こす事件が多く、また、お盆休みや夏休みなどでマーケット参加者が少ないことから、値動きが荒くなりやすいため注意する必要があります。

 ちなみに昨年8月は、米中対立激化、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融方針の変更(平均インフレ目標2%の導入)、日本の政変(安倍首相の辞任意向報道)など重要イベントがありましたが、ドル/円は月間で約8銭の陽線でした(円安)。高値、安値の値幅は約2円あったのですが、月初と月末は105.90円近辺でほとんど同じ水準でした。ドル/円が急落しなかったのは、日米とも株式市場が堅調だったことが背景にありました。今年も米株が堅調なため、心配は少ないかもしれませんが油断は禁物です。

《参考》 8月に発生した経済的、軍事的大事件

1971年8月15日 ニクソンショック  金・ドル交換停止、10%の輸入課徴金

1990年8月2日  イラク軍がクウェートに侵攻

2007年8月9日 パリバショック

2008年8月7日 北京オリンピック開催中に南オセチアでグルジア軍と軍事衝突。翌8日にロシアが軍事介入→欧州経済悪化も加わり、ユーロ円が8円の円高

2011年8月8日 米国債務問題から米国債が格下げされ(5日(金))、翌週8日(月)に世界同時株安

2015年8月24日  中国景況感の悪化から上海株が急落し、世界同時株安に。上海株が一時8%近く急落した日は、ドル/円の値幅が6円近くの荒れ相場に

2019年8月5日  米中貿易戦争激化の中、人民元安と米国の中国「為替操作国」指定で円高に。米国ダウは、一時960ドルを超える下げ。人民元は11年振りの1ドル=7元超え。為替操作国指定は25年振り