ブラード総裁発言が追い打ちに

 追い打ちをかけたのはFOMC後の18日、セントルイス連銀のブラード総裁の「インフレが加速すれば2022年後半にも最初の利上げをするだろう」との発言でした。

 FRBの金利見通しよりもさらに利上げの前倒しが必要との発言から米株は大きく崩れ、今週月曜日の日本株も一時1, 000円を超える下げとなりました。ドル/円も一時110円を割れる展開となりました。

 市場参加者はFRBがタカ派に変節したと捉え、マーケットは大きく反応しましたが、今回の内容を冷静にみてみると、

【1】FOMC前に注目されていたテーパリングについては、今後のデータを確認後議論すると述べ、開始時期については今後の話と説明したことからマーケットの想定内の内容。

【2】2023年の利上げ見通しについては、これまでマーケットが想定していた利上げ観測時期と大きなズレはないこと。また、利上げはまだ2年近く先の話であること。

 などを考えると、FOMC後のマーケットの反応は、FRBのタカ派寄りの変節に驚いただけのようです。出口への道のりはまだ時間がかかることを考慮すると、早晩、マーケットは「FRBの変節」を消化していくのではないでしょうか。

 22日のパウエル議長の議会証言で「インフレは一時的」と認識する従来の姿勢は変わらなかったことに加え、「FRBは予防的に利上げすることはない」と発言したことから、早期利上げに対する過度な警戒感が後退し、株価は上昇しました。