2021年上期に110%超の増益見通し、直販強化策などが奏功

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

165.40HKD
(6/18現在)

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 中国のスポーツウエア大手、安踏体育用品は6月17日の大引け後、2021年6月中間決算の大幅増益見通しを発表した。中間期の売上高は前年同期比50%強、純利益は110%強の伸びを示す見込み。前年同期実績と照らし合わせると、それぞれ220億元、35億元を上回る計算となる。この数字はBOCIの2021年通期予想の44%、42%に当たるという(2019年の上期の比率は44%、43%)。経営陣は同時に直販(DTC)業務の予想以上の好調を理由に、2021年通期の小売事業の売上高目標を「前年比15-20%増」から「20%を上回る伸び」に上方修正。BOCIは同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続した。

 経営陣によると、2021年上期の売上高は前年同期比50%強、営業利益は同55%強の伸びを示す見込み。50%を超える増収見通しは主に、新型コロナに起因する前年同期実績の低さと、「DTC改革」(直販強化策)のプラス効果によるもの。さらに、小売価格の値引き率の改善や、「FILA」およびその他ブランドの店舗生産性の向上を受けた営業レバレッジの改善が、増収ペースを上回る営業利益率の伸びを支えているという。続く2021年下期は前年同期実績が高い上に、北京冬季五輪に向けた広告宣伝費が膨らむ見込み。経営陣はこうした点を考慮し、売上高、営業利益の伸びが“正常化”するとみる。BOCIは下期の売上高、営業利益をそれぞれ前年同期比33%増、26%増と予想している。

 新疆綿問題が国内ブランドの追い風となったことに加え、男性アイドルグループUNIQのメンバー、王一博(Wang Yibo)を新たにブランドアンバサダーに起用したことがZ世代や中間層にアピールし、小売販売額は4月、5月も好調を維持した。特筆すべきは、小売価格の値引き率が同社史上、最良の水準となる25%以下に戻った点。経営陣は今回、2021年通期の小売販売目標を「20%を上回る伸び」に上方修正。7月8日のインベスターズ・デーにおいては、詳細なリブランディング計画を発表する予定となっている。

 傘下のフィンランド企業、アメア・スポーツの赤字は上期に縮小する見込み。経営陣によると、全体の増益見通しは前年同期比110%強だが、アメア・スポーツを除いた場合は同65%強。これはアメアに起因する上期の赤字負担が、前年同期の7億1,900万元から、約4億元の幅で縮小することを示唆する。「アークテリクス」や「ウィルソン」「サロモン」といった中核ブランドの小売販売の復調に加え、コスト管理の強化などが奏功したという。

 BOCIは2021-2023年の利益見通しと目標株価(2022年予想PER[株価収益率]40倍)を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。潜在リスク要因としては、主力の「安踏」ブランドのDTC改革が成功しない可能性と、「FILA」の業績が後退する可能性を指摘。逆に潜在的な支援材料としては、7月8日のインベスターズ・デー、6月25日の五輪テーマシリーズの投入、さらに東京五輪、北京冬季五輪を挙げている。