今後の注目点

 今回のFOMCで、FRBがテーパリングの議論を始めることがわかりました。これまでのようなハト派一色のFRBではなく、タカ派色も垣間見えました。ただ、パウエル議長が慎重な言い回しを続けていることから、テーパリング・ショックは起こらず、長期金利の上昇も小幅でした。

 テーパリング議論を始めることを伝えてもショックが起こらなかったことから、日米の株式市場は当面、底堅く推移すると考えられます。

 ただし、これで、米景気が年後半に過熱するリスクが払しょくされたわけではありません。ワクチン効果で、米経済が正常化に向かうタイミングで、1.9兆ドルの財政出動が行われると、米景気が過熱するリスクは続いています。過熱リスクがさらに高まれば、米長期金利やインフレリスクの上昇を通じて、金融緩和の終了時期がさらに前倒しになる可能性もあります。引き続き、米景気・長期金利の変動から目が離せません。

 今回のFOMCの日本株への影響は、当面、中立と考えます。米景気好調で、1ドル110円台後半に円安が進んだことはポジティブです。ただし、FRBがテーパリングの議論を始めることに警戒が強まることは、ネガティブです。

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