そこで問題は、今年はどうなるのか、ということです。今年は3月末までにS&P500指数は既に5.5%の上昇となっています。これは年率に換算すると24%近い上昇率となります。大統領選挙の結果判明からだと10.4%上昇していますが、これも年率に換算すると25%近い上昇率となります。実は私はこの、やや速い上昇ペースを心地良いものとはとらえていません。というのは下記の通り過去50年間で、大統領選挙で勝利した初年度(11月から翌年10月)にS&P500指数が20%上昇して、4年後に勝った大統領(または同党の候補)はいないのです。

  • 1988年 ブッシュ(父)22.0%上昇 1992年敗北
  • 1996年 クリントン29.7%上昇 2000年敗北
  • 2012年 オバマ24.4%上昇 2016年敗北

 これは感覚的にも分かりやすいと思います。人々の記憶はそれほど長続きするものではないので、政権としては4年後の選挙に勝とうと思えば、就任から3~4年目に景気や株価を持ち上げていきたいはずです。上記の確定申告という季節要因によって需給が歪むのと同じで、初年度から過剰な期待によって景気や株価が持ち上げられると、後になって息切れするのは目に見えているからです。実際、最近の大統領選挙で現職(または同党の候補)が負けた年は全て、S&P500指数の上昇率は10%以下にとどまっています。

  • 1992年 ブッシュ(父) 6.7%上昇
  • 2000年 クリントン 4.9%上昇
  • 2008年 ブッシュ 37.5%下落
  • 2016年 オバマ 2.3%上昇