天然ガス需要を楽観、M&Aを通じてガス販売事業を拡大 

現地コード 銘柄名
00135

昆侖能源

(クンルン・エナジー)

株価 情報種類

6.15HKD
(6/1現在)

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 ペトロチャイナ系のガス販売・加工会社、昆侖能源のビジネスは年初から好調に推移しており、ガスの小売売り上げは市場予想を上回るペースで増加している。LNG(液化天然ガス)ターミナル事業にとっては、中国のLNG輸入の伸びが追い風。さらに最近のLNG価格の上昇も、LNG処理プラント事業にとってプラスとみられる。BOCIは2021-2023年の利益見通しをプラスマイナス5%の幅で微調整。多額の配当分を除外したことで、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 国家発展改革委員会(NDRC)によると、中国国内の天然ガス需要は2021年4月に前年同月比13.2%、1-4月では前年同期比16.8%増と、コロナ禍にあった前年実績の低さから2桁増。同社の小売販売量は2020年と2021年年初に取得した新規プロジェクトの貢献で、国内平均を上回ったという。資産売却を通じて多額の現金を手にした同社は、M&Aを通じて天然ガス販売事業を拡大させており、小売販売量を前年比15%引き上げるという2021年通期目標の達成が有望視されている。

 国家統計局によると、中国の天然ガス輸入量は1-4月に前年同期比22.4%増の3,946万トン。うちLNGは同30%増の2,630万トン。LNG輸入の力強い伸びは、同社の残るLNGターミナル2カ所にプラスとなる。

 LNGのスポット価格は、日本と中国の在庫補充需要を背景に上昇傾向を維持している。MMBTU(100万英熱量単位)当たり10米ドルを突破し、閑散期としてはここ3年の高値水準に達した。こうした状況は同社のLNG処理プラントに有利。うち2カ所の出荷価格は5月初めから15-20%上昇した。

 同社の現在株価はコアベースの2021年予想PER(株価収益率)で10.2倍、同予想PBR(株価純資産倍率)で0.9倍という魅力的な水準にある。同社に次ぐ選択肢となるのは華潤ガス(01193)。両社ともにバランスシートは健全だが、華潤ガスの現在株価は2021年予想PER19倍に上る。

 BOCIは引き続き、2021年暦年の予想PBRと同業他社のコアROE(株主資本利益率)の回帰に基づいて目標株価を設定した。調整後の2021年予想ROE10.0%をベースに(新たに設立されたパイプライン運営会社、国家石油天然気管網集団に譲渡した資産の正味価値を除外)、理論上の2021年予想PBR1.18倍をあてはめた。新たな目標株価は2021年の予想コアPERで14倍相当の水準となる。

 一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIはLNG処理プラントの採算性、あるいは接続料収入が予想を下回る可能性に言及している。