投資したいと考える理由

 以下、5銘柄を選んだ理由を、簡単にコメントします。

【1】ENEOS HD
 ENEOS(エネオス)というと、皆さまが思い浮かべるのは、ガソリンステーションかもしれません。ガソリン小売業は、同社のたくさんある事業の中の1つに過ぎません。
 同社はエネルギー総合企業で、川上(原油資源開発)から川下(石油製品)まで、一貫生産できる強みを持ちます。また、銅鉱山の経営も行っており、最近の銅価格急騰でもメリットを受けます。

 ENEOSのメインビジネスは化石燃料の利用ですが、時代の流れに合わせて脱炭素にも取り組む総合エネルギー企業として私は評価しています。ちなみに、脱炭素に向けて水素ステーション運営も行っています。水素関連銘柄として注目されることもあります。高配当利回り株としてじっくり長期投資して良いと考えています。

【2】三菱UFJ FG
 上記5銘柄の中で、一番投資価値が高いと私が考えているのが、三菱UFJ FGです。低金利の長期化で国内商業銀行業務の収益環境が悪化していますが、三菱UFJは、海外事業の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・カードなどへの多角化)によって高収益を維持してきました。 コロナ禍前(2019年3月期まで)は、8,000億円~1兆円の純利益を安定的に稼いでいました。コロナ禍で2020年3月期の純利益は5,281億円に低下しましたが、21年3月期の純利益は7,770億円に回復、22年3月期には8,500億円に回復する会社目標を出しています。これだけ高い利益を安定的にあげる力があることが見直されると、株価はさらに上昇する余地が高いと考えています。

【3】丸紅と双日
 いずれも総合商社です。コロナが完全に収束すれば純利益で最高益を更新する力があると評価しており、株価が割安な今が投資の好機と判断しています。

 両社とも、資源事業に加え、非資源事業を強化することで、コロナ前の2019年3月期に純利益で最高益をあげています。丸紅は、2019年3月期が純利益で2,308億円の最高益です。双日は、2019年3月期純利益が704億円で最高益です。

 コロナ禍で両社とも、大きなダメージをうけました。丸紅は、2020年3月期に1,974億円の純損失に転落しました。資源価格の急落にくわえ、過去に買収したガビロン社の減損などが足を引っ張りました。双日は、2021年3月期の純利益が270億円まで落ち込みました。

 ただし、両社とも、世界景気の回復・資源価格の上昇によって、あしもと、収益が急回復しています。丸紅は今期(2022年3月期)純利益が2,300億円と最高益とほぼ同水準まで回復する予想を出しています。双日は今期純利益が530億円まで回復する予想を出しています。

 両社とも、新興国で幅広くビジネスを展開しており、コロナが収束すれば新興国での利益がさらに伸びると予想しています。

【4】スカパーJSAT HD
 スカパー事業の利益は不安定ですが、衛星事業(JSAT)で安定収益を稼いでいます。衛星事業では5月20日、NTTとの業務委託契約を締結し、持続可能な社会の実現に向けた新たな宇宙事業を行うことを発表しました。

 成長性はあまり期待できませんが、安定的に収益を稼いでいく高配当利回り株として長期投資していく価値があると考えています。

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