2021年2月期決算は予想上振れ、コスト効率の改善で下期に75%増益

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

トップスポーツ・インターナショナル

株価 情報種類

11.86HKD
(5/25現在)

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 米ナイキや独アディダスなどの海外ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際の2021年2月本決算は、純利益が前年比20%増の27億7,000万元と、BOCIの予想を11%、市場コンセンサス予想を13%上回った。主にコスト効率の改善によるもの。年度下期(2020年9月-2021年2月)の純利益は前年同期比75%増と、上期の同11%減から急回復した。下期の増収率は21%で、粗利益率は前年同期を0.4ポイント下回る40.1%。いずれもBOCIの予想の範囲内だった。期末配当は1株当たり0.12元の予定であり、下期の配当性向は51%。特別配当を実施したため、通期の配当性向は143%(前年度は51%)となる。BOCIは株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 売上高は年度上期に前年同期比7%減少した後、下期は同21%増。小売売上高が上期の11%減から22%増に持ち直したためで、卸売売上高は上期に23%増、下期に12%増と、逆に減速した。また、主力ブランドとその他ブランドの小売売上高は、下期にそれぞれ20%増、26%増(上期は7%減、8%減)だった。新型コロナの影響で、店舗数は下期に150店の純減となり、通期では389店の純減。ただ、総売り場面積は通期で前年比4.1%増加し、小売店舗の採算性の改善傾向が続いていることを示唆した。150平米を超える店舗の割合は2021年度末に35.1%と、前年の31.7%から上昇している。

 2021年度末時点で、会員数は4,090万人(前年度末は3,730万人)に達し、実店舗売り上げに会員が占める割合は95.3%。2021年度には初の全国規模の会員向け年次イベント「メンバーフェスティバルウィーク」を開催した。また、デジタル化への取り組みを強化し、2020年2月にはコンテンツマーケティングやオンライン販売、メンバー向け活動などを融合した自社アプリの提供を開始。ユーザー数は年度末までに270万人を数えた。4月末までには、ほぼ全ての直営店でモバイルデジタル機能の活用が可能となっている。

 粗利益率は年度下期に前年同期比0.4ポイント低下したが、上期の同2.1ポイントの悪化に比べて改善傾向を示した。小売価格の値引き率の縮小が背景。一方、営業利益率は下期に3ポイント上昇して10.3%。販売費と一般管理費の対売上比率が、それぞれ2.5ポイント、1.0ポイント低下したことが寄与した。

 BOCIは2022年予想PER(株価収益率)25倍をベースとする目標株価を据え置いたが、5月25日の説明会の後に、収益見通しのレビューを実施する方針。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、スポーツウェアブランドによるD2C(Direct to Consumer)への取り組み強化や、店舗網拡大ペースのスローダウンと店舗当たりの生産性の後退、大株主による持ち株売り出し、政策的な緊張の持続――などの可能性を挙げている。