※本記事は2018年6月12日に公開したものです。

ボーナスからの投資で考えたいこと

 トウシル編集チームから、「6月最初の原稿は、ボーナスの中から10万円投資するとしたら、何に投資するか? をテーマにして書いて下さい」という、提案があった。リクエストはめずらしい。今回はこのテーマで書いてみたい。

「10万円」は、これだけが投資額だとすると、投資を考えるにはいくらか小さいお金だが、ボーナスが例えば50万円だとすると、その中の2割に当たるので、まずまず現実的な金額だ。収入の一部を、すぐに使ってしまうのではなく、将来使うために運用に回そうという心掛けは大変いい。この10万円の投資が、将来に向けた運用のスタートになるならさらにいい。

 ところで、仮に、自分が20代のサラリーマンだとしたら10万円で行う最も効果的な投資は何か? あるいは、定年を前にした50代サラリーマンなら何か?

 人によって異なるかも知れないという留保条件付きだが、20代なら、10万円を持って大型書店に行って、「ためになりそうな本」をまとめ買いして、次のボーナスまでに読むと決意することだろう。たぶん、自分自身への教育投資が最も効果的な投資だ。それも、なんらかのスクールやジムのようなものに通うのではなく、自分で選ぶ本による自分だけの自己教育プログラムを考え、実行するところに意義がある。ビジネスパーソンの「差」とはそのようにして作るものだ。

 では、50代なら、どうだろうか。これは、かなり個人差が出そうだが、たとえば、配偶者のためにプレゼントを贈るのが、最も効率の高い投資である可能性があるのではないか。来たるべき老後に備えて、夫婦が円満であることのメリットは大きい。

 さて、本連載の性質上、金融資産への投資なら何がいいのか、ということになるが、「お金」の運用の場合は、年齢や人のタイプ、あるいは資金の使い道によって適した運用対象が異なるというようなことはない。

 お金の運用の「ニーズ」とは、誰にとっても、ただお金を効率良く増やすことだけだ。人による違いは、運用金額の大きさと、その中でどのくらいの大きさのリスクを取るかだけだ。