2021年1-3月期は27%増益、利益率の改善と一過性利益の計上が寄与

現地コード 銘柄名
01093

石薬集団

(CSPCファーマスーティカル)

株価 情報種類

11.56HKD
(5/25現在)

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 中国の医薬品メーカー、石薬集団の2021年1-3月期決算は、売上高が前年同期比10%増の67億3,400万元と、BOCIの予想通りの水準だった。粗利益率は前年同期の74%から77%に上向いたが、これは利益率の高い抗がん剤の売上比率の拡大やコスト効率の改善が背景。粗利益率の改善と一過性利益9,800万元の計上により、純利益は同27%増の14億7,200万元と、予想から20%上振れた。BOCIは1-3月期の好決算を反映させる形で、2021年通期の予想EPS(1株当たり利益)を7%増額修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主要製品の1-3月の売り上げを見ると、急性脳梗塞治療薬「恩必普」(NBP:ブチルフタリド)は前年同期比9%増の54億8,000万元と、BOCIの予想の範囲内。抗がん剤では「多美素」(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射液)が60%増の6億9,500万元、アルブミン結合パクリタキセルが8%増の6億2,600万元。半面、「津優力」(PEG-G-CSF注射液)はわずか2%増の5億600万元だった。心脳血管系では「玄寧」(マレイン酸レバムロジピン)が26%増の3億9,300万元、神経系疾患向けの「欧来寧」(オキシラセタム)は34%増の1億1,000万元だった。

 主力の「恩必普」は、国家医療保険償還医薬品リスト(NRDL)に掲載されたことによる価格引き下げを受け、普及が進んだもよう。経営陣によると、値下げによるマイナス影響は当初予想より小幅にとどまったという。「恩必普」注射液の売り上げは、地方医療機関への浸透により、前年同期比2.7%のプラス成長を確保。同カプセル剤も薬価引き下げを受けた患者の服薬順守により、22.1%の増収を達成した(患者1人当たりの処方量が1-2箱から5箱に増加)。経営陣は2021年上期の決算発表後に、12月通期の「恩必普」の売り上げ見通しを発表する予定。BOCIは現時点で、2021年の「恩必普」売上高を62億元と予想している(2020年実績は66億元)。

 新薬候補では侵襲性真菌感染症治療薬のアンホテリシンB(AMPH-B)コレステリル硫酸塩複合体を2021年4月に発売済み。BOCIは同製品の2021年、2022年の売上高について、2億9,100万元、5億6,300万元を見込む。また、年内にはミトキサントロンの発売を予定しており、BOCIはピーク時の売り上げが20億元に達するとみる。このほか、年内に発売を予定するのは、再発・難治性濾胞性リンパ腫治療薬のデュベリシブ(PI3K)、非小細胞肺がんのBPI-7711(EGFR)、すい臓がんのイリノテカンリポソーム製剤。

  BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づいて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを維持した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、「恩必普」や抗がん剤部門での競争激化や、研究開発が遅れる可能性などを挙げている。