本土からの対香港投資が活発、売買代金でテンセントが安定の首位

 香港の主要株価指標ハンセン指数は先週(5月10-14日)、前週比2.04%安の2万8,028ポイントで取引を終えた。1日当たり平均売買代金は1,655億HKドルと、前週を上回る水準。その他指数を見ると、中国企業指数(HSCEI)は2.75%安の1万405ポイント、ハンセン科技(TECH)指数は4.90%安の7,565ポイント。同一銘柄の本土A株と香港H株との価格差を示す「ハンセン中国AHプレミアム指数」は前週末の134.87から139.00に上向き、価格差の拡大傾向を示した(100を超えた場合は本土A株がH株に対して割高であることを示す)。ハンセン指数をセクター別に見ると、医療、生活必需品、金融が騰落率上位で、前週比3.31%高、1.14%高、0.32%安だった。

 本土の投資家による対香港株投資を意味する「サウスバウンド(港股通)」は、10-14日に143億元の純流入(前週は6億元の純流出)。月初から14日までの累計では138億元の純流入だった(3月は106億元の純流出、4月は363億元の純流入)。また、サウスバウンドが香港株式市場の売買全体に占める割合は14日までに16.9%と、4月の12.3%、3月の14.4%から上昇。この割合は2019年には8.5%、2020年には11.2%だった。

 BOCIは投資家に対し、港股通の売買上位20銘柄からBOCIがピックアップした推奨銘柄を含む「サウスバウンド・リンク・ポートフォリオ」に注目するよう勧めている。年初来の売買代金の首位はテンセント(00700)で、1,350億HKドルの買い越し(売買代金は総額4,854億HKドル)。年初来の値上がり率は3.4%だった。2位はスマホの小米集団(01810)、3位は通信キャリアのチャイナ・モバイル(00941)で、この2社は22.1%安、13.7%高。BOCIは3社の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを付与している。ポートフォリオ全体のリターンは年初から14日までに1.5%。ハンセン指数の2.9%高を下回る半面、MSCI中国指数の4.3%安をアウトパフォームした。

 5月10-14日週に限ると、サウスバウンドの売買代金首位のテンセントは56億HKドルの買い越しで、株価は週間で2.8%安。以下、美団(03690)が13.7%安、小米集団が2.4%高。売買上位10銘柄の平均では0.6%安と(各銘柄のウエートを前週並みと想定)、ハンセン指数の2.0%安、MSCI中国指数の3.2%安より、小幅な下げだった。

 10-14日週に目立ったのは、上海復星医薬(02196)がサウスバンドの売買代金5位にランクインし、週間値上がり率が18.6%を記録したこと。独ビオンテックと新型コロナワクチンの合弁生産事業を立ち上げると発表したことが起爆剤となった。

 BOCIは「サウスバウンド・リンク・ポートフォリオ」から、売買が縮小していた中国生物製薬(01177)を除外。逆に売買代金が上向いているスポーツ用品の李寧(02331)を追加した。李寧は2021年1-3月の小売売上高が前年同期比80%台後半を記録。BOCIは新疆綿をめぐるナイキやアディダスの不買運動で、李寧に恩恵が及ぶとみている。