202113月期は2桁増益も予想下押し、未来に向けて積極投資へ

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

609.00HKD
(5/21現在)

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 中国のネットサービス大手、テンセントの2021年1-3月期決算は、売上高が前年同期比25%増の1,353億元に達し、市場コンセンサス予想を1.2%上回った。フィンテックおよびビジネスサービス事業の好調に加え、ECや教育、消費財セクターの広告需要の伸び、自動車情報プラットフォーム「易車網(bitauto)」の広告収入の合算などが背景。一方、非GAAPの同期純利益は22%増の331億元と、市場予想を4.6%下回った。BOCIは研究開発費の増大や関連会社の赤字を反映させる形で、2021-2023年の利益見通しを7.2-9%減額修正。これに伴い目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主力のオンラインゲーム部門の売上高は、前年同期比17%増の436億元。モバイルゲーム収入の伸びが寄与した(ソーシャルネットワーク事業に属するモバイルゲーム業務を含めると、前年同期比19.4%増、前期比13.1%増の415億元)。「和平精英(Peacekeeper Elite)」、「王者栄耀(Honour of Kings)」、「PUBGモバイル」などのスマホゲームや、「天涯明月刀(Moonlight Blade Mobile)」など、配信開始から間もないタイトルの好調が支えた。一方、パソコン用クライアントゲームの収入は前年同期比0.9%増、前期比16%増の119億元。既存の「穿越火線(CrossFire)」や新作「特戦英豪(Valorant)」などが貢献した。

 一方、フィンテックおよびビジネスサービス部門の売上高は前年同期比47%増の390億元。リモート志向の高まりや、国内消費の拡大によるモバイル決済の利用増が追い風となった。ビジネスサービス収入はプロジェクトの再開や、企業ソフト、オンラインビデオ利用などの旺盛な需要を背景に、健全な伸びを維持した。

 同社経営陣は新たなビジネス機会が出現し、オンライン化、デジタル化が加速している現状を見据え、2021年の利益上乗せ分の一部をビジネスサービス事業やゲーム、ショート動画事業、さらには技術革新を通じた持続可能な社会的価値に投資する方針を決定した。こうした中、投資先企業の損失拡大も予想される状況にある。2021年1-3月には、赤字額上位の関連会社5社が、非IFRSベースの同社の純利益を7%ほど押し下げる結果となった。

 BOCIは2021-2023年の利益見通しの減額修正に伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した(各事業部門の目標株価の算出基準はフィンテックを除いて変更なし)。今後のレーティング見直しにつながる潜在リスク要因としては、ネット大手への監督強化策という国内政策への懸念や国際的な緊張感の高まりがプラットフォーム事業にマイナス影響を及ぼす可能性を指摘。さらに同社のグローバル戦略を取り巻く不透明感を挙げている。