202113月期決算が好調、音響部品の利益率がポジティブサプライズ

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

42.55HKD
(5/17現在)

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 スマホ部品メーカー、瑞声科技の2021年1-3月期の純利益は前年同期比909%増の5億3,200万元と、市場の予想を上回り、経営陣が事前に示した水準に達した。音響部品の粗利益率が37.4%に達したことが予想上振れの主因。主要顧客向けの出荷がずれ込む中、アンドロイドスマホ向け音響部品の生産効率改善が寄与した。経営陣によれば、2020年4-6月の小型キャビティスピーカーモジュールの量産化に伴い、音響部品の利益率はさらに上向く見通し。同社株に対する市場の投資心理は依然低調だが、BOCIは利益率の改善や光学部品事業の成長が、今後6カ月間にわたり株価の押し上げに寄与するとの見方。目標株価に加え、先行きに対する従来の中立見通しも強気に引き上げている。

 1-3月期の売上高は21%増の43億元と、市場予想を1%上回る半面、BOCIの予想を2%下回った。粗利益率は31%と、市場予想の26%、BOCI予想の28%を上回る数字。営業利益率も15%と、市場予想の10%、BOCI予想の12%を上回った。

 部門別に見ると、音響部品の粗利益率が37.4%に達したことが最大のポジティブサプライズ。前年同期比で11.5ポイント、前四半期では5.5ポイント上向き、ここ10四半期で最も高い数字となった。米アップル向けの出荷が1-3月期にずれ込んだことが粗利益率を押し上げたとみられるが、BOCIはアンドロイド向け製品の粗利益率に関しても、オートメーション化や標準化による成果が現れ始めているとの見方だ。一方、電磁電動および精密構造部品の売上高は1-3月期に前年同期比27%減の12億元にとどまり、BOCIの予想を34%下回ったが、これはケーシングの主要取引先だったファーウェイの不振が影響した可能性が高いという。このほか、光学部品の売上高は175%増の6億7,400万元。粗利益率も27.8%に改善した。

 経営陣は4月、市場予想を上回る1-3月期の利益見通しを発表したが、その後も同社株に対する投資センチメントは弱いままとなっている。ただ、音響部品の粗利益率の上昇や光学部品事業の拡大を理由に、BOCIは同社株価が底打ちしたとみる。4-6月の利益率の改善が次の支援材料になる見通しという。

 4-6月は同社にとって、重要な四半期となる。半導体不足やインドでの新型コロナのまん延で、業界全体が厳しい状況にある中、同社は小型キャビティスピーカーモジュールやX軸ハプティクス(触覚)製品、6Pレンズ、WLG(ウエハレベルガラス)レンズなどの生産強化を進めている。

 BOCIは電磁電動・精密構造部品の苦戦を反映させる形で、2021-2023年の予想売上高を7%、6%、4%減額しながらも音響部品の高利益率を織り込み、予想EPS(1株当たり利益)を7%、7%、8%の幅で増額修正した。2021年予想PER(株価収益率)21倍をあてはめて目標株価を引き上げ(2022年、2023年予想PERで18倍、15倍)、株価の先行きに強気見通しを付与している。