順調に見える米株市場、雇用統計の結果には要注意
以上のように、今週の日本株も前回と同様に戻り基調をうかがう相場展開がメインシナリオと考えて良さそうですが、その一方で気をつけておきたいのが米国市場です。
■(図5)米S&P500(週足)とMACD(2021年5月28日取引終了時点)
米株市場はS&P500やNYダウが高値圏で推移しています。上の図5を見ても、S&P500は長い「バンドウォーク」が継続していて、順調に中長期の上昇トレンドを形成しているように見えます。
「死角」がないように見える米株市場ですが、長期金利や仮想通貨の動きの影響を受けやすい状況に変わりはなく、不安定さものぞかせています。
また、今週は月初恒例の米雇用統計が予定されていますが、最近は米経済指標で弱いものが散見されるようになっています。
こうした指標の弱さについては、今のところ「慌ててテーパリングの議論を進めなくてもよくなる」という感じで、ポジティブに受け止められていますが、今回の雇用統計や他の指標の結果が悪かった場合、「もしかしたら、思っていたよりも景気回復が遅れているのではないか?」という見方が浮上する可能性もあり、金融緩和の継続性と、実際の景気の強さとの間で、市場心理が揺れ動く展開も考えておく必要がありそうです。
ちなみに、相場のサイクルでは、コロナショックで底打ちしてからの上昇トレンドが先週末で62週を経過しましたが、前回の底打ちから天井をつけて、バンドウォークが崩れるまでの期間も62週でした。
相場は一定のリズムや法則で動くわけではありませんが、ムードが弱気になった際には、こうしたサイクルが意識されて思ったよりも下げ幅が大きくなるかもしれないことは、一応、頭の片隅に置いておいた方が良さそうです。