21年1-3月期に2桁増収、通期目標達成へ出足堅調

現地コード 銘柄名
00220

統一企業中国控股有限公司

(ユニ・プレジデント・チャイナ)

株価 情報種類

9.42HKD
(5/13現在)

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 台湾系の飲料・即席麺大手、統一企業中国の21年1-3月期決算は、売上高が2桁の伸びを示したにもかかわらず、純利益は前年同期比11%減の3億7,800万元にとどまった。この数字はBOCIが設定した通期利益見通しの23%に当たる(20年通期利益に対しては26%相当)。減益の主因は前年同期に計上した一過性の売却益6,100万元であり、この要因を除くコア純利益は1桁台の伸び。粗利益率の小幅な低下や競争環境下での広告宣伝費の増大がコア利益の伸びを抑えた。ただ、経営陣は原材料コストの高騰を理由に、4-6月以降は市場競争が緩和に向かうとの見方。BOCIは引き続き、同社が製品構成の高付加価値化に取り組むと予想し、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

 1-3月期の2桁増収をけん引したのは、主に飲料部門。全品目の好調を背景に、飲料の売上高は2桁の伸びを示した。経営陣は特に、現時点での普及率が10%以下にとどまる無糖茶飲料の長期成長力を楽観している。一方、食品の売上高は既存事業ベースで1桁台の減少となったが、これは前年同期実績が高いためで、19年同期との比較では2桁増。ハイエンド製品(1個当たり平均販売価格5.0元以上)の売上構成比が、20年の35.6%から39%に上向いた。同社はこの5月に、加熱機能付きインスタント中華弁当シリーズ「開小竈(Kai Xiao Zao)」の新製品、ミニワンタンを投入したばかり。経営陣は自社販路における3月末時点の在庫状況を踏まえ、2桁増収という21年通期目標を据え置いている(BOCIの予想は8%増)。

 経営陣は商品(コモディティ)インフレに伴うコスト圧力を理由に、4-6月期には市場競争が段階的に緩和に向かうとみる。1-3月には広告宣伝費を積み増したが、その効果は21年下期に現れる見通しという。

 一方、1-3月期にはオンライン販売が急成長したが、売上全体に占めるオンライン販売の割合は1桁台。オフラインでは「大包賺」戦略(未開拓エリアを分割し、区域ごとの販売業務を担当事業者に一任する制度)が機能し、1-3月には小売販売拠点数が大きく増加。それだけでなく、消費者との関係が深まり、小売店舗の生産性が向上するという効果を生んだという。「開小竈」シリーズに関しては引き続きオフラインチャネルでの展開を進めており、主要都市部を主力市場と位置付ける。

 BOCIは利益見通しを現行水準に維持し、目標株価(21年予想PER[株価収益率]22倍)を据え置いた。PER22倍という数字は過去5年の平均値と同水準となる。一方、今後のレーティング引き上げにつながる潜在要因として、「大包賺」戦略やプレミアム化の加速、既存製品の価格引き上げの可能性を指摘。逆にレーティング引き下げにつながる潜在リスク要因としては、競争激化やコモディティインフレ、消費者の好みの変化を挙げている。