「新疆綿」絡みで打撃のナイキとアディダス、今後の売れ行き回復を予想

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

(トップスポーツ・インターナショナル)

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11.34HKD
(5/11現在)

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 米ナイキや独アディダスなどの海外ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際について、BOCIは段階的な売れ行き回復を予想。向こう数年にわたる中国スポーツウエア市場の急成長の波に乗るとみている。アディダス社の2021年1-3月期の好決算と2021年の売上目標の上方修正により、滔搏国際の先行きに対する確信がさらに強まったとした。ヒストリカル平均値を下回る現在株価の低バリュエーションなどを理由に、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 ナイキとアディダスは、新疆ウイグル自治区での強制労働疑惑に絡む新疆綿の不使用により、3月下旬から中国国内で不買運動の標的となった。ナイキなどのシューズ販売を手掛ける宝勝国際(03813)は10日、1-3月の前年同期比48%増収から一転、4月の売り上げが前年同月比11%減少したと発表。2019年4月との比較では21%の落ち込みとなったことを明らかにした。ただ、BOCIはこの数字を基に、中国でのナイキ、アディダスのオフラインビジネスが受けた打撃はオンラインより小さかったと指摘している。モーニングスターのデータによれば、中国最大のECプラットフォーム「天猫」におけるナイキ、アディダスの売上高は、4月にそれぞれ59%減、78%減だった。

 一方、アディダスが7日発表した1-3月期決算は好調。旧正月向けコレクションの成功を受け、中国圏における売上高は前年同期比156%増加し(為替要因を除く)、2019年同期比では7.5%の伸びだった。同社経営陣は中国での好調が続くとみて、2021年通期の全体の売上成長目標を前年比10%台後半に上方修正。新5カ年計画の下、2021-2025年の増収率、増益率をそれぞれ年率平均8-10%、16-18%とする目標を明らかにしている。

 また、ナイキとアディダスのオフライン販売について、BOCIはすでに回復傾向にある可能性が高いとしている。5月上旬のメーデー連休中に、主要都市のショッピングモール内店舗で客足の回復が見られたことが理由。滔搏国際にとってはさらに、中国の力強いスポーツウエア需要が、向こう数年にわたって追い風になるとみている。消費市場における同社の洞察力やマーケティングノウハウを前向きに評価し、国際ブランドの現地パートナーとしての同社の戦略的価値が高まっていると指摘した。長期的には中国の国産ブランドがナイキやアディダスに迫ると予想しながらも、現時点ではイノベーション力やブランディング力の点で、両社のほうが優位にあるとしている。

 BOCIは滔搏国際の2021-2023年の利益見通しと目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、ブランド各社によるD2C(Direct to Consumer)への取り組み強化、店舗網拡大ペースのスローダウンや店舗当たりの生産性の後退、大株主による持ち株売り出し、政策的な緊張の持続――などの可能性を挙げている。