2021年1-3月期決算に黒字転換、中国事業の復調が鮮明

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

25.50HKD
(5/6現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2021年1-3月期決算は、売上高が前年同期比70%増の16億2,600万米ドルと、BOCIの予想を8%上回った。米ドル安(対韓国ウォンで7%安、対人民元で8%安)や中国事業の急回復が背景。半面、韓国、インド事業の低調が一部足を引っ張った。中国でのビール販売量は継続的なキャンペーンの実施やコロナ禍にあった前年同期実績の低さを背景に84.6%増。プレミアム、スーパープレミアムの売れ行き急増で、平均販売価格も4.3%上向いた。同社全体の1-3月期の純利益は予想を22.6%上回る2億3,300万米ドル(前年同期は4,100万米ドルの赤字)。BOCIは業績回復の勢いや中国事業の先行きがより明確さを増したことを理由に、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 事業部門別に1-3月期決算を見ると、主に中国とインドから成る「アジア太平洋(APAC)西部」の売上高は前年同期比87.4%増、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は336.3%増。うち中国では、販売増と価格の上昇が寄与し、売上高が92.5%増、EBITDAが243.5%増だった。同社はこの先、販路の拡大に加え、製品ラインナップへのプレミアムスピリッツの追加やエナジードリンク分野でのレッドブルとの提携を通じ、「プレミアム化戦略」を推進する見込み。消費者に自社製品を供給できる場面を増やすことで、プレミアム化トレンドを加速させる見通しという。一方、インドではプレミアム、スーパープレミアム、ノンアルコールの2桁成長を背景に、販売量と売上高が2桁増を確保したが、同国では4月以降、新型コロナ感染が急拡大しており、BOCIはこの先のビジネスに対する深刻な懸念を指摘している。

 韓国を主力とする「APAC東部」の1-3月期の売上高は前年同期比1.2%減、EBITDAは22.1%減。引き続き新型コロナの感染状況などが影響した。ただ、ビール販売量が1桁台前半の伸びにとどまる中、韓国での同社シェアは家飲み用、業務用ともに上昇した。また、主な競合他社は5月から価格を調整すると発表したが、同社は据え置く方針。経営陣はCPIに連動させる韓国の価格戦略に変更はないとし、製品構成のアップグレードや12カ月のヘッジポリシー、グローバルな調達戦略により、コスト圧力を軽減できるとしている。今も感染防止措置が続く韓国でのビジネスについて、BOCIは4-6月も緩やかな回復にとどまるとみる。

 BOCIは2021-2023年の予想売上高、予想EBITDAを2%引き上げた。2021-2023年の販売量、平均販売価格の予想伸び率は年率平均6.3%、4.4%(6.0%、3.8%から上方修正)。APAC西部と東部の両部門に、引き続き予想EV/EBITDA倍率25.0倍、13.0倍を当てはめながらも、目標算出ベースを2021年予想から2022年予想にシフト。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。