景気が良くなると失業率は高くなる?
景気が良くなれば、「給料が増える! 仕事もたくさん見つかる!」そんな明るい時代は、残念ながら終わったのかもしれません。これからの社会では、景気が良くなるほど「給料が減らされるか、あるいは失業する」リスクが高くなるといわれています。
最近の米雇用統計では、平均労働賃金が大きく伸びています。給料が上がっても喜んではいけません。なぜなら、英国のシンクタンクによると「インフレ率を超える最低労働賃金の上昇は、仕事のロボット化を急加速させる」。米国の3月のインフレ率は前年比+1.6%、それに対して平均賃金は+4.2%。米国は、まさにその状態になっているわけです。
企業は、労働力確保のために人間の給料を増やすよりもAI投資へお金をつぎ込んでいます。数年のうちに、ホテルの受付や銀行の窓口、コンビニや居酒屋の従業員が全員ロボットに代わっていても不思議ではありません。雇用の大きな変化は、新型コロナ前から始まっていました。しかし感染流行が終息する気配を見せないなかで、スピードが加速しているのです。
米アマゾンの無人コンビニ「Amazon Go」がオープンしたのは2018年1月。日本でも同様の試みが2020年1月頃にスタートしています。しかし、当時日本では「人とのふれあいがなくなる」という理由で、無人店舗に懐疑的な意見も多かった。「目をみて『ありがとうございます』」と言ってくれるのか?」、「お釣りを渡すときに丁寧に手をそえてくれるのか?」というサービスが大切とされていたのです。
しかし、わずか1年で人間の行動様式は180度変わってしまいました。これからのサービスとは、「人と人とのふれあいをできるだけ避けること」。会計のときに話す必要があったり、電子マネーが使えなかったり(お札のウイルスは1週間生存)するような店は、それだけコロナ感染率が高いという理由で敬遠される時代になったのです。
コンビニや居酒屋の無人化は、たとえコロナ大流行がなかったとしても、いずれは日常の風景となっているでしょう。しかし、問題は変化ではなくそのスピード。経済システムは、急激な変化に対応できるように設計されていません。数年以上かけて変えていくべきことがわずか1年足らずのうちに起きています。その結果、いろいろな問題が起きているのです。