3月雇用統計のレビュー

 前回3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が+91.6万人に増加。コロナウイルス感染の大流行によって縮小していた米国の経済活動が、徐々に再開していることを示しました。

 3月の失業率は6.0%。昨年4月の最悪期に比べて著しく改善しましたが、コロナ流行前の2月時点(失業率3.5%)よりも、まだ2.5パーセントポイント近く下回っています。失業者は970万人で減少基調であるものの、昨年2月時点(580万人)より依然400万人多いです。失業率は米国の州によって違いがあり、例えばハワイ州は9.2%、NY州は8.5%もある一方、サウスダコタ州は2.9%と低いです。観光・レジャー産業の依存度が高い地域は失業率が高止まりしています。

 NFPは91.6万人増加。コロナによるダメージが最も大きかったレジャー・サービス業を中心に、教育、建設業など幅広い分野で雇用が増加する明るい兆しが見えました。とはいえ、昨年2月のピーク時に比べて840万人(5.5パーセントポイント)少ないです。

 3月の失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は20.3万人減って200万人。一時解雇者は1年前よりもまだ130万人多いものの、2020年4月時点の1,800万人に比べると大幅に減少。一方、永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は340万人でほぼ横ばい。前年比ではまだ210万人多いです。労働参加率は61.5%で前月とほぼ変わらず。

 コロナ流行を理由に在宅勤務をした被雇用者の割合は21.0%で、前月の22.7%から減少。また新型コロナ流行による会社の休業や倒産を理由に働けなかった人は1,140万人いましたが、1月の1,330万人からは減少。