2021年1-3月の生産量は5%増と堅調、渤海湾の油田火災の影響は「限定的」

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(シノック(CNOOC))

株価 情報種類

8.19HKD
(4/23現在)

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 中国3位の石油会社、CNOOCの石油・天然ガス生産量は、2021年1-3月期に前年同期比5%の伸びを示した。中国域内での生産増が背景。4月初めには渤海湾の油田プラットフォームで火災が発生したものの、BOCIは生産量への悪影響は限定的とみている。利益モデルの微調整に伴い、2021-2023年の予想純利益を1-3%増額修正。現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月の石油・ガス生産量は前年同期比5%増の1億3,770万BOE(石油換算バレル)。主に南シナ海東部の新規プロジェクトの貢献で、中国域内での生産量が9%増加したことが寄与した。また、オンショアのガス生産量も前年同期の2.3倍を記録したが、これは炭層メタンガス(CBM)、タイトガス(砂岩層に貯留する非在来型ガス)の生産量の急増が背景。年後半にパイプラインの輸送容量が拡大すれば、さらに上向く見通しという。一方、海外では、石油輸出国機構(OPEC)の減産方針を受けたナイジェリアでの生産抑制や、米国、英国での生産縮小が響き、1-3月の石油・ガス生産量は前年同期比3%減。ただ、国内の増産が海外の減産分を十二分にカバーした。

 4月前半には渤海湾の「蓬莱油田Vプラットフォーム」で火災が発生した。掘削作業中のシャローガス(地層の浅い領域にたまったガス)の噴出が原因。火は1日で消し止められ、同社は現在、プラットフォームの上部構造を撤去するための作業を進めている。BOCIは火災による生産量への打撃は軽微との見方であり、最大でも60万バレル程度の影響にとどまると予想。海上への石油流出も発生していないと付け加えている。

 経営陣が示した2021年通期の生産見通しは、5億4,500万-5億5,500万BOE。1-3月の生産量はその25%に当たり、計画通りの進捗をうかがわせた。

 ブレント原油相場は年初から25%上昇したが、同社株価はこれに対して明らかに出遅れている。米国による制裁が株価パフォーマンスに影響しているもよう。ただ、BOCIは米政権の交代を理由に、一段の制裁強化は予想されないとの見方。現在株価は2021年予想PER(株価収益率)で4.6倍、2021年予想配当利回りで7.7%という、極めて魅力的な水準にあると指摘している。

 BOCIは年報に記された資源埋蔵情報を基に、収益モデルをアップデート。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく2021年の1株当たり予想NAV(純資産価値)を12.0HKドルから12.6HKドルに上方修正し、目標株価を引き上げた。予想NAVに対する目標株価のディスカウント率は3.5%となる(前回サイクルの底だった2016年年初以来の中央値を適用)。

 一方、今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、原油相場急落の可能性、コストが予想を上回る可能性――を挙げている。